日インド2国間クレジット制度のビジネス参画促進フォーラムが開催

(インド、日本)

ベンガルール発

2025年09月30日

日本・インド間の2国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)(注)のビジネス参画促進フォーラムが日本の環境省とインドの環境・森林・気候変動省主催のもと、9月23日にインドの首都ニューデリーで開催された。フォーラムの前日には日印間のJCM第1回合同委員会が開催され、パリ協定第6条に沿ってJCMを実施するための規則の早期採択に向け、最終決定までの間は事業構想書の提出を受け付けることなどが決定された。フォーラムでは、カーボンクレジットに関心を寄せる日印関係者に対してもその旨が説明された。

インド国内のカーボンクレジット取引については、2023年6月に炭素クレジット取引スキーム(CCTS)のコンプライアンスメカニズムが、同年12月にオフセットメカニズムが発表された。2024年3月にはコンプライアンスメカニズムの対象となる9領域(のちに8領域に変更)、同年5月にはオフセットメカニズムの対象となる10領域、同年9月にはコンプライアンスメカニズムの詳細な手続きと認定されたカーボン検証機関が制定された。インドの環境・森林・気候変動省によると、2025年12月にはJCMによるプロジェクトの運用に関する詳細が決定され、2026年1月にはエネルギー効率局が整備するインド炭素市場ポータルの運用が開始される予定だ。

インドは、2030年までにGDP当たりの排出量の炭素強度を2005年比で45%削減、2070年までにネットゼロとする実現を掲げている。経済成長と気候変動に対する取り組みの両立を目指す上で、従来技術との比較で代替の低炭素技術が高額になることが多い中、JCMの導入はインドにおける低炭素技術の資金調達に役立ち、大規模な技術の進展や普及を加速させるもの、とインド政府は期待を示す。

フォーラムでは日印両政府による発表のほかに、日印企業10社による低炭素技術に関する発表も行われた。フォーラムに参加した日本の総合エンジニアリング会社の担当者は、「JCMが両国間で締結されることにより技術導入にかかる資金面での障壁が低くなり、削減目標が義務化される企業からの需要が増えると見込んでいる」と述べた。

(注)日本とパートナー国の間で、日本の企業や政府が技術や資金面で協力して対策を実行し、得られる温室効果ガス削減・吸収量を、両国の貢献度合いに応じて配分する仕組み。日本・インド間のJCMに関しては、2025年8月7日に両国間でJCM構築に関する協力覚書が締結され、石破茂首相とナレンドラ・モディ首相が発表した日印共同声明や10年後に向けた日印共同ビジョンでも、両国政府が協力してJCMを活用した2国間の気候変動対策を推進する旨が盛り込まれている。

(大野真奈)

(インド、日本)

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