KDDIがバングラデシュでスターリンクのサービス開始、通信遮断リスクに備え
(バングラデシュ、日本)
ダッカ発
2025年09月25日
KDDIは9月1日、バングラデシュで高速衛星通信サービス「スターリンク」の法人向けサービスを開始した。スターリンクのサービスは、米国の航空宇宙企業スペース・エクスプロージョン・テクノロジーズ(スペースX)が運営し、同社が提供する専用アンテナを通じて、現在世界100カ国以上で展開されている。衛星通信は高速かつ低遅延で、離島や山間部でもインターネット通信を利用できる。
スターリンク用の衛星通信機器(KDDI提供)
バングラデシュでは2024年8月の政変直前、前政権が1週間の通信遮断措置を講じた。これにより、多くの進出日系企業や駐在員が連絡手段を失った。KDDIはこの教訓から、2026年2月に実施される予定の総選挙を前に、デモの激化や暴動、通信制限の可能性を見据えて本サービスの開始を決断した。
KDDIは、日本国内では能登半島地震などの災害時にスターリンクを活用し、非常時でも安定した通信を提供可能であることを実証済みだ。バングラデシュでは、利用者に対して通信に必要な機器の手配・設置、Wi-Fi環境の構築などを支援する。
KDDIアジアパシフィック・ダッカ支店の松田啓二支店長は「バングラデシュに進出している日系企業にとって、通信の安定性は事業継続の鍵となる。スターリンクがその安全と信頼を支える通信インフラとなるよう、今後もサービス拡充を図っていきたい」と述べた。
KDDIアジアパシフィック・ダッカ支店の松田啓二支店長(KDDI提供)
(箕浦智崇)
(バングラデシュ、日本)
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