タイ、アルコール飲料規制の改正法を11月8日から施行

(タイ)

バンコク発

2025年09月18日

タイでアルコール飲料の販売・広告などを規制する2008年アルコール飲料規制法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))の改正法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が9月9日に官報に掲載され、11月8日から施行される。同法改正に関しては、これまで複数回、意見公募が行われていた(2024年4月11月記事参照)。

施行される2025年アルコール飲料規制法(第2版)の主な改正内容は次のとおり。

  • アルコール飲料の販売時間を定めている1972年11月16日付の革命評議会布告第253号を廃止する。
  • 教育機関付近の場所などでアルコール飲料の販売場所を定めている2015年7月22日付の国家平和秩序維持評議会命令2015年第22号「道路での自動車、バイクのレース問題防止策、および娯楽施設法で定める娯楽施設、または娯楽施設に類似するサービスを提供する施設」の第6条を廃止する。
  • 「アルコール飲料」の範囲について、現行は「酒・蒸留酒法」に基づく酒類を指しているが、改正法では、酒類のように飲める全ての物質、またはアルコールが含まれている混合物、または水などと混ぜると酒類のように飲めるものまでに範囲を拡大する。アルコール度数が0.5度以下の飲料は含まない。
  • 「マーケティング・コミュニケーション」の定義の改正により、「アルコール飲料摂取により問題が生じる人」「伝統的な宴会」の定義を追加。
  • 国家アルコール飲料政策委員会、アルコール飲料規制委員会、バンコクアルコール飲料規制委員会、県アルコール飲料規制委員会の構成・役割権限の規定。
  • アルコール飲料販売者は未成年飲酒、または酩酊(めいてい)者へのアルコール飲料販売防止策やスクリーニング方法を講じなければならない。
  • アルコール飲料委員会の規定に基づき、本人確認ができる自動販売機であれば、自動販売機でのアルコール飲料の販売が可能となる。
  • 広告・宣伝に関して、大臣が定める基準、方法、条件に基づき、アルコール飲料に関する情報提供、知識の共有、公共広報が可能となる。
  • 個人の利益のために知名度を利用して飲酒を促すような公共向けの情報提供や、アルコール飲料の名称、商標の表示を禁止する。ただし、大臣が定める規定に基づき、限定的なグループ向けに学術的な情報提供を目的とする場合を除く。
  • アルコール飲料の名称、商標、シンボルを他の商品の広告宣伝に使用する、または、それらを加工したり、メッセージを工夫したりするなどしてアルコール飲料が連想されるような広告宣伝を行うことを禁止する。
  • 大臣が定める規定に基づき、個人、組織、政府機関、または民間機関の社会貢献活動、または公益活動への支援、飲酒を促すようなことを禁止するとともに、活動の宣伝や活動のニュースを公表することを禁止する。
  • 係官の任務遂行のための権限の改正
  • 製造者・輸入者に対する罰則の改正

現地報道外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、保健省疾病管理局アルコール飲料管理事務局のニポン・シナノンウェート事務局長は、改正法の施行に向けて下位法令などの見直しを行い、アルコール飲料の販売時間、場所、広告・宣伝の規定など具体的な内容を決める予定だ。

(須田善也、ウォンパタラクン・ヤーダー)

(タイ)

ビジネス短信 a0d7d7de68c9a327