バカ・ムエルタ鉱区への注目が高まる、石油・ガス展示会も大盛況

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年09月30日

アルゼンチン最大の炭化水素関連業界の展示会「第15回国際石油・ガス展示会AOG」が、9月8~11日にブエノスアイレス市において開催された。主催したアルゼンチン石油・ガス協会(IAPG)によると、アルゼンチン南西部のネウケン州にある世界最大級の石油および天然ガスの埋蔵量を誇るバカ・ムエルタ鉱区での開発が着実に進み、その潜在力に期待と注目が高まっている。そのため、国内企業のみならず、国外からも日本、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、スペイン、台湾、スイス、米国などの約540社以上が出展、4日間の来場者数は過去最高の3万人を超え、大盛況だった。日本企業では、横河電機、前川製作所、理研計器(アルゼンチン販売代理店)、日機装の4社が出展した。

IAPGの調査によると、現在日量80万バレル相当の原油を生産しているバカ・ムエルタ鉱区の生産量は、2029年までに日量130万~150万バレルまで拡大する見込み。また、2029年には最大6基の原油処理ブラントが稼働する予定で、2040年に向けて最大26基の同様のプラントが建設される計画だ。このため、多岐にわたる分野においてビジネス拡大の可能性が存在する。アルゼンチン国内の主要な石油・ガス企業37社は、現在あらゆる資材やサービスを約1万社から調達しており、うち78%が中小企業だという。例えば、土木工事、骨材・水・砂などの天然資源、エネルギー、鋼材、金属加工のほか、機械類ではポンプ、モーターなど、輸送サービスやエンジニアリング分野も重要となってくる。一方、開発や生産の拡大が進むとともに、高度人材、労働力不足、物流、インフラ設備不足など数多くの課題も浮き彫りになってきているという。

展示会に講演者として参加したダニエル・ゴンサレス鉱業エネルギー調整長官は、「バカ・ムエルタ鉱区は世界有数の非在来型資源」だと主張し、税負担の高さ、労働コスト、物流インフラの不足、不明確な制度など、課題が多いことも認めた。その上で、政府は競争力向上のために取り組んでいるとし、インフレを抑制し、マクロ経済を改善させるとともに、明確で安定した制度やルールを整備し、企業を支援していくと強調した。

次回のAOG展示会は2026年10月にネウケン州で、2027年には再びブエノスアイレス市で開催される予定だ。

写真 ブエノスアイレス市で開催された「第15回国際石油・ガス展示会AOG2025」の様子(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市で開催された「第15回国際石油・ガス展示会AOG2025」の様子(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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