エネルギー生産者、消費者と公共部門での協定で価格低減を目指す取り組みを推進
(EU、デンマーク)
デュッセルドルフ発
2025年09月30日
デンマークのコペンハーデンで9月4~5日に、EU加盟国のエネルギー担当相による非公式会合が開催された。その際、欧州委員会のダン・ヨルゲンセン委員(エネルギー・住宅担当)は、洋上風力・電力網分野とエネルギー貯蔵分野の2つの分野で取り組んでいる、(1)公共部門、(2)エネルギー生産者、(3)エネルギー消費産業の3者による協定について明らかにした(プレスリリース)。
3者協定の枠組みを通じ、洋上風力分野では、今後10年間で88ギガワット(GW)、21世紀中盤までに最大で360GWの発電容量の導入を実現できるとしている。これは、ドイツ、ポーランド、ギリシャの3カ国分の発電容量に相当する。また、エネルギー貯蔵は、価格高騰を緩和するために必要不可欠なシステムとし、同分野へのさらなる投資を促進することが3者協定の目標とした。
この枠組みは2025年2月に欧州委が発表した「手頃な価格のエネルギー行動計画」の中で、主要なアクションの1つとして言及されている。3者の連携による市場の不確実性の軽減は、エネルギー価格の高騰を抑え、産業の競争力を維持するための投資環境整備を可能にするとしている。特に、2025年下半期のEU理事会(閣僚理事会)議長国であり、今回の非公式会合を主催したデンマークで実績がある取り組みとなっている。
また、今回の2分野にとどまらず、今後はバイオメタンやエネルギー効率、原子力、データセンターなどの分野でも3者協定の有用性を検証しながら締結を目指すとしており、議長国を務めるデンマークもこの取り組みを引き続き支援していく。
非公式会合では、このほか、2030年以降のEU圏内でのクリーンで手頃な価格でのエネルギー供給のあり方、将来のデジタル社会形成に向けたエネルギー分野の貢献のあり方、エネルギーインフラの整備なども議論された。なお、EU運輸・通信・エネルギー理事会は10月20日と12月15日に開催の予定。
(安岡美佳)
(EU、デンマーク)
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