完成品の履物の一時輸入を禁止する政令を公布
(メキシコ)
メキシコ発
2025年09月02日
メキシコ政府は8月28日、「IMMEX(注)政令の改正」に関する政令を官報公示した。本改正で、IMMEXプログラムの適用企業でも一時輸入ができない例外品目リスト(IMMEX政令別添I)に、履物(完成品)に関する6401項から6405項のHSコード50品目(添付資料表参照)を追加した。
同官報では、本改正の理由について次のように説明している。国内の履物産業は縮小傾向にあり、国立統計地理情報院(INEGI)のデータによると、2019年から2024年までの期間で履物産業のGDP年平均成長率がマイナス3.1%となった。2024年も厳しい状況は続き、2023年と比較するとGDPは12.8%減少し、生産額は12.5%縮小、1万958人の正規雇用が失われ、同産業の雇用は未曾有の低水準となった。一方で、IMMEXプログラムに基づく履物(完成品)の輸入では、2024年と2023年を比較すると、数量で2.6倍、金額で60.3%増と、飛躍的な伸びを示した。2021年の輸入と比較すると、数量では24倍以上、金額では12倍以上だ。履物の輸出量を輸入量で割った時の比率をみると、2021年では6.59%だったが、2024年では0.88%となり、輸入量が輸出量を大幅に上回っていることがわかる。以上のことから、国内産業の競争力に損害を与えていると推測され、国内産業の雇用と競争力に影響を与える慣行を防止する措置を講じる必要があるとし、今回の改正に踏み切ったとした。
さらに、マルセロ・エブラル経済相は8月28日の早朝記者会見で、「一時輸入では、国内市場に出回らず、輸出向けのため付加価値税(IVA)を支払う必要がなかった。しかし、履物を輸入した多くの企業は、それを輸出せずにメキシコ国内で販売していた」と強調し、履物業界がこれらの不正について陳情したことで、本改正に至ったと説明した。全国履物産業協会(Canaical)とグアナフアト州履物産業協会(CICEG)は声明の中で、これは「国内産業にとって歴史的な前進」であり、国内の生産、雇用、合法性を守る上で確固たる一歩であると表明した(「レフォルマ」紙8月28日付)。
(注)輸出向け製造・マキラドーラ・サービス業振興プログラム。製品やサービスの輸出を条件に、当該オペレーションに必要な部品・原材料、機械設備の一時輸入(保税輸入)を認めるプログラム。詳しくは、外資に関する奨励(メキシコ)を参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
ビジネス短信 85d4715f5f3c1a2a