サービス消費拡大へ新たな支援措置、医療・レジャー分野の規制緩和やインバウンド市場の活性化を推進
(中国)
北京発
2025年09月24日
中国の商務部、国家発展改革委員会、教育部など9部門は9月16日、「サービス消費拡大に向けた若干の措置」を発表した。同措置は、消費振興および内需拡大の一層の強化、消費高度化の促進、サービス消費における新たな原動力の育成などを目的としている(注1)。
同措置では、(1)サービス消費促進のプラットフォームの構築、(2)質の高いサービス供給の拡充、(3)サービス消費における新規需要の喚起、(4)財政・金融支援策の強化、(5)サービス消費に関する統計・モニタリング制度の整備といった計5分野、19項目の措置を盛り込んでいる。
(1)では、「サービス消費祭り」などの消費促進イベントの開催や、新しい消費形態・モデル・消費シーンの創出を目指すパイロット都市の建設(注2)などが挙げられた。
(2)では、インターネットや文化分野における対外開放を推進し、電信、医療、教育などの分野における試行開放措置を拡大し、より多くのサービス消費分野を「外商投資奨励産業目録」に追加するとした。また、文学や映画・ドラマ・アニメなどのコンテンツ制作を支援し、国際的なスポーツイベントの誘致を奨励するほか、職業技能訓練、高齢者向けの研修など多様化した教育・研修サービス市場を育成するとした。さらに、2〜3歳児を対象とした幼稚園での託児サービス拡充の支援や、中・高級医療、レジャーなどの分野における規制緩和を推進し、外資・民間資本の参入を促すとした。
(3)では、インバウンド消費を促進するため、訪中ビザ免除の対象国を拡大し、外国人のビザ取得手続きや、中国国内での通信、宿泊、決済サービスの利便性を向上させるとした。また、「AI(人工知能)+消費」の典型的な応用事例の普及を推奨するとともに、学校の休暇制度を最適化し、年間の休暇日数を変えない範囲で春季休暇・秋季休暇の新設を検討するとした。
(4)では、中央政府予算や地方特別債(専項債)などを活用して、文化、観光、養老、育児、スポーツ関連のインフラ施設建設を支援することや、金融機関によるサービス消費分野への融資拡大、サービス業経営主体の融資に対する利子補給(2025年8月20日記事参照)を支援するとした。
(注1)商務部の盛秋平副部長は9月17日に開催された国務院の記者会見で、2024年8月に打ち出された「サービス消費の質の高い発展を促進するための意見」(2024年8月14日記事参照)など、サービス消費拡大に向けた政策措置のもとで、2024年の1人当たりのサービス消費支出が消費支出に占める割合は46.1%となり、サービス消費の消費増加への寄与率は63%に達したと言及。また、当面は消費高度化の重要な段階にあり、この機会を捉え、需給両面からサービス消費の支援策を整備し、質の高いサービス供給の拡大、サービス消費の潜在力の発掘に取り組む、とコメントした。
(注2)商務部サービス貿易・商貿サービス業司の孔徳軍司長は上記の記者会見で、今後全国で50のパイロット都市を選定し、質の高い消費供給を増やし、多様化した消費シーンの創出・拡充などで差別化された消費需要を満たすとした。
(張敏)
(中国)
ビジネス短信 842383e5bf430e6d