8月の新車販売台数は6年ぶりに好調

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2025年09月16日

南アフリカ共和国の8月の新車販売台数は目覚ましい回復を見せ、月間実績としては約6年ぶりの好調を記録した。南ア自動車ビジネス協議会(Naamsa)が9月1日に発表した販売データによると、8月の新車販売台数は5万1,880台で、前年同月の4万3,692台から18.7%の大幅増となった。これにより、月間実績としては2019年10月以来の最多を記録した。輸出の逆風が強まっているにもかかわらず、国内需要面では持続的な回復が続いている。輸出台数も、米国の関税政策や世界的な競争激化による不確実性にもかかわらず、前年同月比6.2%増加の3万7,500台だった。

Naamsaは、7月の金利引き下げや消費者信頼感の向上などに支えられた堅調な国内需要がこの伸びの主因と報告した。また、Naamsaは「市場環境の変化により、世帯の資金調達コストとディーラーのフロアプラン(注)コストが低下し、自動車購入のためのローンへのアクセスが拡大した」と述べている。

このうち乗用車販売台数は3万6,914台で、前年同月比22.5%増と、2015年9月以来の高水準となった。Naamsaによると、このうち15%はレンタカー向けの販売だった。また、小型商用車は前年同月比15.1%増を記録する一方、中型商用車、大型トラック・バスはそれぞれ3.9%と8.8%の減少となった。

南アではトヨタとスズキが乗用車と小型商用車セグメントで引き続き市場をリードしており、トヨタが1万3,000台以上を販売して首位、スズキがその約半分の台数で2位だった。一方、中国自動車メーカーの長城汽車(GWM)と奇瑞汽車(Chery)は南アの販売台数上位10社に食い込み、従来の高級ブランドの一部に取って代わった。これは、消費者の購買パターンの変化と厳しい市場環境を反映している。今後の見通しについて、Naamsaは、2025年初来の新車販売台数は前年同期を上回っているものの、米国関税措置など南ア自動車産業全般に与える影響を注視する必要があるとしている。

(注)自動車ディーラーがメーカーから車両を仕入れて販売するまで、在庫を担保として融資を受ける形態。

(トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国)

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