スウェーデン、政策金利の1.75%への引き下げを発表
(スウェーデン)
ロンドン発
2025年09月30日
スウェーデン国立銀行(中央銀行)は9月23日、経済活動のさらなる支援およびインフレ率の長期的な安定のため、政策金利を0.25ポイント引き下げ、1.75%とすることを発表した。2025年10月1日から適用される。
中銀は当面この水準を維持する意向で、インフレや経済動向の先行きが現状どおり推移する限り、追加的な利下げは行わないとの姿勢を示した。
利下げに至った背景には、スウェーデン国内の経済減速とインフレの鈍化がある(2025年9月1日記事参照)。8月のスウェーデンの消費者物価指数(CPIF:Consumer Price Index with fixed interest rate)上昇率は3.3%と目標の2%を依然上回るが、エネルギーを除いたインフレ率は落ち着きを見せている。
しかし中銀は、政府が発表した減税は2026年のインフレを一時的に抑制するものの、インフレ圧力に実質的な影響を与えるとは評価されていないことなど、インフレや経済活動の見通しは不透明であり、今後の金融政策が変更になる可能性を言及した。中銀のアンナ・セイム副総裁は、金融決定会合で金利引き下げの決定に反対意見を表明し、政策金利の据え置きを主張。2025年内になる利下げが行われる可能性を示唆する金利の道筋も示した。セイム氏は、供給サイドの脆弱(ぜいじゃく)性および2026年の拡張的財政政策が相まって、インフレ率が予想以上に上昇する可能性があるとの見解を示していた。
中銀の発表を受けて、大手銀行は9月25日、住宅ローン金利の引き下げを発表した。しかし、今回の利下げが0.25ポイントだったのに対し、大手銀行のスウェドバンク、ノルデア、SEBは0.20ポイントの引き下げにとどまった。従来、スウェーデンの国内銀行は、中銀の政策金利引き下げ幅と同水準の3カ月変動金利の引き下げをしてきた。エリザベス・スバンテッソン財務相はこうした大手銀行の対応に対し、中央銀行や政府とともに責任を果たすべきだと批判した(2025年9月25日付「aftonbladet」)。
(バリオ純枝、篠崎美佐)
(スウェーデン)
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