ジェトロが「日印経済フォーラム」を共催、日印両首脳が協力関係を再確認

(インド、日本)

調査部アジア大洋州課

2025年09月02日

ジェトロは8月29日、経済産業省などとともに東京都内で「日印経済フォーラム」を開催した。石破茂首相やインドのナレンドラ・モディ首相ほか、日印両国の経済界などから約700人が参加した。また、本フォーラムにあわせて、日印企業・業界団体などの間で170件の覚書(MoU)締結が行われた。

あいさつに立った石破首相は、「日本とインドが、自由、民主主義、法の支配という普遍的価値観を共有する戦略的パートナーであり、長年にわたり信頼を育んできた」と両国の友好関係を強調したうえで、「日本の技術とインドの優秀な人材・巨大な市場が補完し合うかたちで、経済関係を飛躍的に拡大させている」とし、両国関係のさらなる発展のカギとして、(1)人的交流の促進、(2)技術と市場の融合、(3)半導体をはじめとする重要技術分野における協力の3点を上げた。

続いてあいさつに立ったモディ首相は、「インドの発展において、日本は常に重要なパートナーである」としたう上で、(1)製造業、(2)テクノロジーとイノベーション、(3)グリーンエネルギーへの転換、(4)ムンバイ~アーメダバード間における高速鉄道などの次世代インフラ、(5)スキル開発と人的交流などの分野で協力を進めていくことを提案した。そして日印間のパートナーシップは戦略的で、経済的論理に基づき共通の利益を共有していると述べ、インドが日本企業のグローバルサウスでの事業展開に向けた「跳躍台」となると強調した。

写真 あいさつするモディ首相(ジェトロ撮影)

あいさつするモディ首相(ジェトロ撮影)

フォーラムの後半では、3つの異なるテーマのパネルディスカッションが行われた。最初のセッションでは「日印次世代経済のための高度人材分野等での交流」と題し、高砂電気工業社長の平谷治之氏、メルカリ執行役員インド副社長の梅澤亮氏、ファインディ代表取締役社長の山田裕一朗氏が登壇し、自社のインド人材の活躍状況や採用のポイントなどについて解説した。続いて、「半導体、宇宙・航空産業などの最先端分野における日印協力について」と題したセッションでは、アストロスケール代表取締役社長の加藤英毅氏、富士通執行役員副社長のヴィヴェック・マハジャン氏、経済産業省製造産業局宇宙産業課長の高濱航氏が登壇し、各社事業や日本政府の取り組み状況について説明した。最後に、「日印科学技術の連携によりインド市場・世界市場にどのようにアプローチするか」と題したパネルでは、三井物産執行役員インド総代表の榎本善之氏、スズキ常務役員兼インド事業本部長の鈴木浩一氏、エア・ウォーターのグリーンイノベーション開発センター長の田中真子氏が登壇し、各社が取り組む脱炭素関連事業などについて紹介した。

(深津佑野)

(インド、日本)

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