ASEAN Digital Content Summit初開催、マレーシアをコンテンツのハブに

(マレーシア、ASEAN、日本)

クアラルンプール発

2025年09月12日

マレーシア南部ジョホール州の州都ジョホールバルで、9月2日から4日にかけて、「ASEAN Digital Content Summit2025(ADCS2025)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が初めて開催された。ADCSは、デジタル省傘下のマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)が主催するBtoB向けのコンテンツ展示会と、ASEANの関連省庁によるカンファレンスで構成される。このうち展示会には9カ国から61社・団体がブースを出展した。ジェトロはゲームをはじめとする日本製品のプロモーションとバイヤー発掘を目的に、オンラインカタログサイト「Japan Street」の広報ブースを設置した。実際に展示されたゲームを試遊した来場者からは、「有名なVチューバー(注)とのコラボ作品で親しみやすい。ゲームとして面白いだけではなく、効果音やキャラクターの見た目など、細部の完成度も高い」といった声も聞かれた。

写真 ジェトロの広報ブース(ジェトロ撮影)

ジェトロの広報ブース(ジェトロ撮影)

初日の開会式でウィルソン・ウガ・クンボン・デジタル副大臣は「マレーシアはデジタルエコノミーでASEANのハブを目指していることから、ジョホール州で開催した」と述べた。ジョホール州イスカンダル・プテリでは、政府系投資機関が出資する国際的な映画スタジオ複合施設「Iskandar Malaysia Studios」が稼働しており、過去には映画「クレイジー・リッチ!」など国際的な映画作品の撮影地としても利用されるなど、ASEANのコンテンツ産業ハブとして注目を集めている。また、同副大臣は「ASEAN関連省庁とのカンファレンスで、域内のデジタルエコノミーを1兆ドルに拡大することで合意した」とした。

オン・ハフィズ・ガジ・ジョホール州首相は「ASEANには巨大なアニメ市場があり、日本や韓国のアニメやゲームも人気だ。両国にならい、マレーシアからもコンテンツ産業を打ち出していきたい。海外の企業には、コンテンツとイノベーションでもジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ、2025年2月20日記事参照)を活用してほしい」と、日本企業を含む外国企業へ投資を呼びかけた。

写真 ウィルソンデジタル副大臣の基調講演(ジェトロ撮影)

ウィルソンデジタル副大臣の基調講演(ジェトロ撮影)

(注)バーチャルユーチューバーの略。キャラクターやオリジナルアバターを用いて、YouTubeなどのオンラインプラットフォーム内で活動している。

(都築佑樹、近藤皐平、ニザール・カイルッディン)

(マレーシア、ASEAN、日本)

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