第2四半期のGDP成長率は前期比0.6%、家計と政府支出が牽引し経済成長が回復

(オーストラリア)

シドニー発

2025年09月11日

オーストラリア統計局(ABS)は9月3日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前期比0.6%になったと発表した(添付資料表1、表2参照、注)。前年同期比では1.8%と市場予想を上回る成長となった。ABSは「悪天候など自然災害の影響が大きかった第1四半期の低迷から、第2四半期は経済成長が回復した。家計支出と政府支出が成長を牽引し、公共投資が成長の阻害要因になった」と説明した。

需要項目別でみると、政府最終消費支出は前期比1.0%増となった。医療費の一括請求が増加したほか、インフルエンザが例年より流行した影響もあり、社会保障制度への支出が拡大した。第2四半期を通じて実施された軍事演習に関連して、国防費も増加した。

民間最終消費支出は前期比0.9%増となった。6月の年度末セールや新製品の発売が裁量的支出の伸びを牽引した。また、娯楽や文化、交通サービス、ホテル・カフェ・レストランなど、観光関連支出も増加した。さらに、イースターとアンザック・デーの祝日が近接したことで休暇が長期化し、消費を押し上げた。

一方、国内総固定資本形成の公的部門は前期比3.9%減で、新型コロナ禍を除いて2017年9月以来最大の落ち込みとなった。複数の公共プロジェクト(道路、鉄道、医療など)が完成に近づいたことが影響した。財貨・サービスの輸出は1.7%増だった。財の輸出の伸びは、第1四半期の悪天候からの回復後、鉄鉱石の生産回復が牽引した。財貨・サービスの輸入は1.4%増加し、輸出の増加を一部相殺した。電気自動車や新型車の需要増加に伴い自動車の輸入が伸び、消費財が増加した。

産業別にみると、鉱業(前期比2.3%増)、宿泊・飲食サービス業(1.9%増)、情報通信業(1.8%増)、運輸・郵便・倉庫業(1.7%増)が成長に寄与した。主要産業の鉱業は、石炭、鉄鉱石、石油・ガスのすべてで上昇した。

ジム・チャルマーズ財務相は、今回の発表を受けて「世界経済の不確実性の中、オーストラリア経済は成長を大幅に加速させている。特に歓迎すべきは、民間部門の回復が加速していることだ」と説明した。

(注)金額は全て季節調整済みの数字。

(山崎美樹)

(オーストラリア)

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