英政府、高カフェインエナジードリンクの子供向け販売禁止へ
(英国)
ロンドン発
2025年09月05日
英国政府は9月2日、16歳未満の子供への高カフェインエナジードリンクの販売を禁止(注1)する方針を発表した。子供の心身の健康、睡眠の質、学業成績に悪影響を及ぼすためとしている。プレスリリースによれば、約10万人の子供たちが、毎日少なくとも1本の高カフェインエナジードリンクを摂取している。
高カフェインエナジードリンクの子供向け販売禁止については、2024年7月の総選挙の労働党マニフェストに盛り込まれ、労働党が政権を獲得した後、同月の国王演説でも言及されていた。なお、2017~2018年にかけて英国議会下院の委員会による若年層でのエナジードリンク消費状況の調査などが行われ、2018年以降多くのスーパーマーケットなどでは既に16歳未満の子供への高カフェインエナジードリンクの販売を自主的に停止している。実際、ロンドン市内のスーパーマーケットで高カフェインエナジードリンクをセルフレジで購入したところ、店員による年齢確認があった。
ロンドン市内のスーパーマーケットの高カフェインエナジードリンク販売コーナー(「CHALLENGE 16」は16歳以上か年齢確認するという意味)(ジェトロ撮影)
現行の規制においては、維持規則(EU)1169/2011(注2)において、カフェインを1リットル当たり150ミリグラム超含む飲料(注3)については、子供や妊娠中・授乳中の女性には推奨されない旨のラベル表示が義務付けられている。
9月3日に開始された意見公募によれば、子供向け販売禁止の対象となるのは、カフェインを1リットル当たり150ミリグラム超含む全ての飲料(コーヒー、茶を除く)で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業者に加え、レストラン、テイクアウト、パブ、カフェなどの外食業者、自動販売機での販売、オンライン販売にも適用される。
意見公募は2025年11月26日まで実施される。導入時期について言及はないが、6カ月間の猶予期間が提案されている。
(注1)イングランドのみに適用。
(注2)維持規則とは、英国のEU離脱の移行期間終了時に、英国法にそのまま置き換えられた、英国の法体系に直接組み込まれているEU法。「維持されたEU法(retained EU law)」ともいわれる。
(注3)コーヒー、茶、コーヒーまたは茶の抽出物を原料とし、食品名に「coffee」または「tea」という語が含まれるものは除外。
(林伸光)
(英国)
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