2025年第2四半期のGDP成長率は前期比0.1%に減速

(スイス)

ジュネーブ発

2025年09月01日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は8月28日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前期比0.1%(季節・スポーツイベント調整後、注)と発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、添付資料表1参照)。2025年第1四半期のGDPが、統計が発表されている1980年以降の過去平均を上回る前期比0.7%という成長になった後、予想されていた調整局面に入ったとしている。各サービス部門は成長したが、工業付加価値と輸出が大幅に減少した。

第2四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、サービス輸出が前期比2.1%増と大きく貢献したが、財の輸出が4.7%減となり、GDP成長率の全体の伸びを相殺した。個人消費は0.3%増と過去平均をわずかに下回る伸びを示した。食品購入以外では、特にヘルスケア、ホテル・レストラン・サービスにおける支出が増加したことで、産業別(添付資料表2参照)の宿泊・飲食サービス業(1.5%増)、医療・社会福祉サービス(0.3%増)、運輸・通信(0.1%増)の伸びを支えた。また、政府消費支出は、公共サービスの支出増(1.2%増)を反映して0.9%増となり、過去平均を上回る伸びを示した。他方、建設投資は0.1%減とわずかに減少し、設備・ソフトウエア投資は0.8%減となり、さまざまな資本財分野の低迷を反映している。そのほか、航空機や研究開発などの景気循環の影響を直ちに受けないが、頻繁に変動する分野で最も大きな落ち込みがあった、とSECOは分析している。

その他産業では、化学・製薬産業が、米国の関税政策に関連した前倒し効果により、第1四半期に大幅に増加した後、第2四半期には輸出の減少により付加価値が大幅に低下したとしている。付加価値は他の産業分野でも減少し、製造業全体で2.4%減となった。卸売・小売業、自動車・オートバイ修理は1.9%増となり、宿泊・飲食サービス(1.5%増)、公共サービス(1.2%増)とともに、第2四半期のGDP成長率を支えた。

なお、SECOの最新経済シナリオによると、米国の輸入関税引き上げの影響で2026年の経済成長率予測が、6月に発表した1.2%から0.8%に下方修正される可能性を示唆している。次回の経済予測は、例年より遅い10月16日に予定されている。

(注)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えて、スポーツイベント調整後の数値。

(田中晋)

(スイス)

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