英政府、ロンドン国際海運週間で海事インフラに総額11億ポンド超の投資発表
(英国)
ロンドン発
2025年09月19日
英国政府はロンドン国際海運週間(London International Shipping Week:LISW、注1)初日の9月15日、産業界と共同で海事産業のエンジニアリング、グリーンテクノロジー、建設に総額11億ポンド(約2,200億円、1ポンド=約200円)超の資金提供を行うと発表した。
資金提供には、英国の主要港湾や業界大手企業への民間投資7億ポンドのほか、英国の海運業界の炭素排出量削減に向けた公的投資4億4,800万ポンドを含み、沿岸地域の成長や雇用創出を促進する。公的投資を通じて、電力、水素、アンモニア、メタノール、風力発電など、新たなクリーン海事技術や燃料の研究開発を支援する「UK SHOREプログラム」(注2)を強化する。UK SHOREプログラムの支援基金からは既に、アクア・スーパーパワーが開発した港湾に設置される船舶充電設備や、廃水を活用して水素を生産し、発電を行うウオーターヘルムのスマート技術など、全国200以上のプロジェクトに2億4,000万ポンドの出資が行われている。今回新たに発表した資金は適宜対象プロジェクトに配分される。
また、政府は英国の港湾に対する投資促進に向けて、産業界との連携やイノベーションの創出支援などを進めている。その一環として、港湾運営会社ピール・ポートはリバプール港、ハンターストン港、グレート・ヤーマス港に3億ポンドの投資、船舶向けクリーン電力を供給するナットパワー・マリンは陸上電源設備に2億5,000万ポンドの投資をそれぞれ発表した。一方で、港湾の拡張計画を推進するため、政府はイングランドとウェールズ(ミルフォード・ヘイブン地域)を対象とした改定版国家政策声明の策定を進め、港湾インフラの開発計画申請を巡る手続きの迅速化を目指す。
さらに、政府はLISW期間中に民間投資を呼び込み、クルーズ業界を支援する「英国クルーズ成長計画」を発表する予定だ。
(注1)9月15~19日に開催の世界最大級の海事イベントの1つで、世界各地から海事関係者が集う。
(注2)クリーンな海事技術の研究開発を加速することで、海事産業の炭素排出量削減と雇用創出を図るプログラム。英政府は同プログラムの一環として、企業や研究機関に資金を提供し、革新的で環境に配慮したプロジェクトを推進するとともに、民間セクターからの投資を活用し、船舶からの炭素排出量を削減する技術の実用化を図っている。
(バリオ純枝)
(英国)
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