イスラエルがハマス幹部を狙いカタールで攻撃、トランプ米大統領「私の決定ではない」
(イスラエル、パレスチナ、カタール、米国)
テルアビブ発
2025年09月10日
イスラエル国防軍(IDF)とイスラエル総本庁(ISA)は9月9日、カタールの首都ドーハでハマス幹部を標的とした精密攻撃を実施したと発表した。IDFは公式X(旧Twitter)で、
「長年にわたり、これらのハマス指導部のメンバーはテロ組織の作戦を主導し、残虐な10月7日の虐殺に直接関与し、イスラエル国家に対する戦争を指揮・管理してきた」と強調した。
ハマス幹部への精密攻撃に関するIDFのX(旧Twitter)でのコメント画面
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は同日、共同声明を発表した。前日にエルサレムとガザ地区で発生した「殺人的攻撃」を受け、ネタニヤフ首相は全ての治安機関に対し、ハマス指導部への攻撃の可能性に備えるよう指示したという。同首相と同国防相は、今回の行動を「完全に正当」と主張した。
一方、ハマスは同日、テレグラムで声明を発表し、「ハマス交渉団を暗殺しようとした企ては、凶悪な犯罪であり、国際法とあらゆる規範に対する明白な違反だ」と強く非難した。ハマスは、暗殺の企ては失敗したとしつつ、交渉団の関係者5人とカタール治安部隊員1人が死亡したと発表した。
カタール外務省の報道官は同日、公式Xで、「イスラエルの卑劣な攻撃を強く非難する」との声明を発表した。
ドーハへの攻撃に関するカタール外務省報道官のX(旧Twitter)でのコメント画面
米国のドナルド・トランプ大統領は、同日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「イスラエルがハマスを攻撃していると米軍から報告を受けたが、これはネタニヤフ首相の決定であり、私の決定ではない」と強調した。さらに、「カタールは米国の強力な同盟国であり、主権国家を一方的に爆撃することはイスラエルや米国の目標を前進させない」と述べた。一方で、ハマス排除を「正当な目標」と評価しつつ、「攻撃の場所については非常に遺憾に思う」と表明した。トランプ大統領は、スティーブ・ウィトコフ特使を通じてカタール側に攻撃を事前通告したが「残念ながら遅すぎた」と説明した。同大統領はネタニヤフ首相と電話会談を行ったことを明らかにし、「この不幸な事件を和平の機会に変えたい」と強調した。
イスラエルの攻撃に関するトランプ大統領のトゥルース・ソーシャルでのコメント画面
イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、カタール、米国)
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