パナマ・ビジネスセミナーを開催、中南米ビジネスの拠点としての利点アピール

(パナマ)

調査部米州課

2025年09月11日

ジェトロは94日、パナマ商工省、在日パナマ大使館との共催で、パナマ・ビジネスセミナーを開催した。パナマ側からは、ホセ・ラウル・ムリーノ大統領をはじめ、約20人の政府関係者が参加した。関係者を除く一般来場者は150人を超え、日本におけるパナマの最新事情への関心の高さがうかがえた。

ムリーノ大統領は、パナマ運河のほか、空港や高速道路、鉄道など、パナマが複合的な物流インフラを築いていることを紹介。北米や南米も含め、アメリカ大陸全体への物流拠点としての利点をアピールし、集まった参加者に投資を呼びかけた。

写真 主賓あいさつを行うムリーノ大統領(ジェトロ撮影)

主賓あいさつを行うムリーノ大統領(ジェトロ撮影)

続いて登壇したフリオ・モルト商工相は、パナマの投資先としての魅力として、強固な物流網に加え、米国ドルが流通しているため為替リスクが小さいこと、政治の透明性・安定性が高く企業にとって予見性が高いこと、若い労働力などを挙げた。また、コロン・フリーゾーン(注1)に代表されるフリーゾーンや、多国籍企業本部制度(SEM、注2)など、税制インセンティブが豊富であることを紹介した。さらに、ホセ・ラモン・イカサ運河相兼大統領府目標管理庁長官も登壇し、飲料水の貯蔵・運搬や高速道路の延長、廃棄物の埋め立てに関するインフラプロジェクトの入札を実施・計画していることを明かした。日本企業の持つ技術力に関心を示し、プロジェクトへの参加を呼びかけた。

写真 基調講演を行うモルト商工相(ジェトロ撮影)

基調講演を行うモルト商工相(ジェトロ撮影)

ジェトロ企画部海外地域戦略班の中畑貴雄主幹は、パナマは中南米諸国の中でも高いGDP成長率を維持しており、進出日系企業数も中米・カリブ諸国の中では最も多い45社に上ることを紹介した。続いて、伊藤忠パナマ会社の黒岩真帆路社長は、同社のパナマ拠点での事業について講演した。中南米各国に対する自動車輸出において、ドル決済が可能で、オフショアビジネスには課税されないパナマを販売拠点にしているほか、SEMを活用し中南米各国へのアカウンティングサービス(内部監査や帳簿管理など)を行っているという。

9月5日には、ムリーノ大統領と石破茂首相との間で首脳会談が行われ、パナマ運河の機能強化や安定的な利用環境の確保に向け、両国が今後も連携していくことを確認した。

(注1)大西洋岸の都市コロンに1948年に設置されたフリーゾーン。内国貨物化しない限り、工業製品など指定品目を無税で再輸出することが可能。東アジアで製造された消費財の、主に南米北部(ベネズエラ、コロンビア)や中米・カリブ諸国への再輸出拠点となっている。

(注2)グループ企業向けへの指揮・管理や支援業務など、多国籍企業の統括機能を持つ企業は、一定の条件を満たせば、法人所得税免除や駐在ビザ発給円滑化などの恩恵を受けられる制度。

(加藤遥平)

(パナマ)

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