中華蕎麦とみ田がハノイ市に出店、海外初進出
(ベトナム、日本)
ハノイ発
2025年09月30日
つけ麺・ラーメン店の「中華蕎麦とみ田」(本店:千葉県松戸市)は9月26日、「富田麺越」をハノイ市内西部の商業施設ザ・ループ(The Loop)に開業した。とみ田グループは、日本屈指の人気店である本店の中華蕎麦とみ田をはじめ、東京都と千葉県で国内18店舗の直営店(2025年9月時点)を展開するが、今回が初めての海外直営店舗となる。現地法人には、国内店舗の運営や小売商品の販売事業などを行う株式会社富田(松戸市)が100%出資する。
富田麺越では、とみ田ブランドの濃厚な豚骨魚介つけ麺を軸に、もりそば(注)や中華そばなどのメニューをそろえる。つけ麺は、並盛200グラム(ゆで前)を19万ドン(約1,064円、1ドン=約0.0056円)で提供する。
麺は日本から輸入した小麦粉を使ってハノイの店舗で製麺し、スープは店舗で炊き出す。同社の代表取締役である富田治氏が自らベトナムに渡航し、新型コロナ禍前から視察を重ね、物件や食材の選定、食材の違いを踏まえた味の調整など、出店準備を進めてきた(ジェトロヒアリング、8月24日)。富田氏は、自身が厨房(ちゅうぼう)に立たない日は松戸市の本店を開けない方針をとっており、そのため出張の際には本店も休業してきた。
富田氏は「日本の店舗でもベトナム人のスタッフが多かったことが出店のきっかけとなった」と話す。ハノイの店舗の責任者は、日本のグループ店舗で店長経験を持つベトナム人が務める。既に在留期間を終えてベトナムに帰国していた元スタッフを、ハノイ店舗に呼び戻すことにも成功したという。富田氏は「(日本で勤務したベトナム人スタッフが)お客様やハノイの他の従業員に、とみ田の味と精神を伝えていくだろう」と期待を寄せる。
今後は、路面店の展開や、種類の異なるラーメンの提供なども検討していく方針だ。
店舗の外観(ジェトロ撮影)
つけ麺と中華そば(ともにジェトロ撮影)
(注)もりそばは、現在のつけ麺の源流となった「東池袋大勝軒」におけるつけ麺の呼称。富田麺越では、本メニューを再現したもりそばと、魚介豚骨つけ麺の2種のつけ麺を提供する。なお、富田氏は、東池袋大勝軒の創業者である山岸一雄氏の孫弟子に当たる。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、日本)
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