米商務省、インテルやサムスンの中国拠点向け半導体製造装置などの輸出管理を強化、シリア向けは一部緩和

(米国、中国、韓国、インド、シリア)

ニューヨーク発

2025年09月02日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月29日、インテル、サムスン電子、SKハイニックスの中国拠点向けの半導体製造装置・関連技術の輸出管理を強化する最終規則を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。9月2日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで正式に公示する。

具体的には、12月31日に米国の輸出管理規則(EAR)における「認定エンドユーザー(VEU)」のリストから3社の中国拠点(注1)を削除する。VEUは、商務省が米国の国家安全保障上の利益を阻害する恐れがないと認定した外国のエンドユーザーで、2025年8月現在、米国企業や韓国企業の中国国内の7拠点、米国企業のインド国内の1拠点が認定されている。VEUに対しては、個別に輸出許可(ライセンス)を取得することなく、特定の品目を輸出や再輸出などすることができる。

BISは今回の発表で、VEUの制度について「バイデン前政権下の(輸出管理の)抜け穴」と問題視した。今後、3社の中国拠点向けの輸出などに際しては、個別にライセンスを申請・取得する必要が生じる。BISは審査方針として、これら拠点の既存施設の運営維持に必要な申請を承認する一方、生産能力拡大や技術水準向上につながる申請は承認しない考えを示した。なお、3社以外でVEUに認定されている米国企業の中国拠点やインド拠点に対するVEU制度は維持されている。

ジェフリー・ケスラー商務次官(産業安全保障担当)は今回の発表に際して、「トランプ政権は輸出管理の抜け穴、特に米国企業の競争力を損なうものに対処することを約束している。本日の決定はこの約束を果たすための重要な一歩だ」と述べた。

シリア向け輸出管理は一部緩和

また、BISは8月28日、シリア向けの輸出管理を一部緩和する最終規則を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。9月2日の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで正式に公示する。同措置は、ドナルド・トランプ大統領が2025年6月に発表したシリア制裁解除に関する大統領令に基づく。同大統領令では、シリアおよび近隣諸国の安定化を目的に、シリアに対する経済制裁や輸出管理の緩和の方針を定めていた(2025年7月3日記事参照)。

具体的には、(1)従来、規制品目リスト(CCL)に含まれない品目(EAR99に分類される品目)であっても、シリア向けの輸出などに際してはライセンスの申請が義務付けられていたが、これを撤廃する例外規定を新設する(注2)。(2)さらに、民生用通信機器などの特定品目の輸出などに、個別のライセンスの取得を不要とする例外規定の適用範囲をシリアに拡大する。

(注1)削除対象は、Intel Semiconductor(Dalian)、Samsung China Semiconductor、SK hynix Semiconductor(China)の3社。これらを含めたVEUのリストはEAR第748条付則7外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)EAR99に分類される品目であっても、キューバ、イラン、北朝鮮、シリアの4カ国向けの輸出などは、ライセンスの申請が義務付けられる。仕向け国・地域別のライセンス要件は、カントリーチャート(EAR第738条付則1外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(葛西泰介)

(米国、中国、韓国、インド、シリア)

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