IITハイデラバード校で就職説明会と共同研究交流会、ジェトロが共催

(インド、日本)

ベンガルール発

2025年09月10日

インド南部テランガナ州ハイデラバードで82931日、インド工科大学(IIT)ハイデラバード校(注)とジェトロが就職説明会「ジャパン・キャリア・デー 2025」と共同研究交流会「Co-research Day」を共催した。今回が8回目の開催で、同校の学部34年生と修士課程の学生を対象に、日本企業の事業内容や求める人材像を直接紹介した。

30日は講堂で参加企業15社によるプレゼンテーションが行われ、日本の就業環境やキャリアパス、技術領域などの説明を行った。約500人の学生が聴講し、立ち見の学生も多く出るほど盛況だった。31日は参加企業が各教室に分かれて、対話形式や講義形式で学生と交流した。各教室には80300人の学生が訪れ、各企業の担当者は研究内容・技術、職場の雰囲気、成長機会などの紹介や、意見交換を交えて各社の魅力を伝えた。

写真 30日の企業説明会(ジェトロ撮影)

30日の企業説明会(ジェトロ撮影)

参加企業の人事担当者の中には、「専攻分野だけでなく、他分野の知識を深めている学生も前年度に比べて増え、学生と企業のミスマッチ解消につながると感じた」との声もあった。技術系の担当者からは、「学生の質問は表面的なものではなく、専攻分野の実務への生かし方など、本質的な質問が多く寄せられた」との声も聞かれた。学生からは、「企業の情報だけでなく、日本の労働倫理や文化についても知ることができ、日本で働く意欲が一層高まった」などの感想が寄せられた。

このイベントは2018年度から継続して開催しており、これまでに約250人のIITハイデラバード校卒業生が日本企業に就職している。前年度は6社が23人の学生を本採用、7社が17人の学生をインターン採用するなど、具体的な成果も上がっている。

写真 31日の企業との交流会(ジェトロ撮影)

31日の企業との交流会(ジェトロ撮影)

2025年度は新たな取り組みとして、共同研究に関心のある企業を対象に、ハイデラバード校の研究室や教授との交流イベントを829日に併催した。企業が関心を持つ研究テーマと親和性のある研究室とのラウンドテーブルを開催し、双方が取り組むテーマについて発表・意見交換を行った。大学との共同研究を通じてイノベーション創出を図るほか、プロジェクトに参画した学生を企業が採用するケースもあり、ミスマッチ防止につながるメリットもある。

写真 Co-research Dayの様子(ジェトロ撮影)

Co-research Dayの様子(ジェトロ撮影)

29日には東邦鋼機製作所(三重県四日市市)が同校と、半導体用ウエハーの研磨用樹脂版の加工装置の導入と研究開発に関する覚書を締結した。半導体の内製化に向けて同産業の発展にインド政府が注力する中、インド工科大学は半導体教育の要所となっている。今回の取り組みは、高性能な半導体開発の実現に向けた日本とインドの産学連携の好事例となる。

(注)インド工科大学は23校からなる国内トップレベルの大学群で、ハイデラバード校は2024年のインド大学ランキング(NIRF)総合部門で100校中12位、エンジニアリング部門で同8位にランクインしている。同校の設立以来、国際協力機構(JICA)と日本政府が支援しており、現在もジャパンデスクを設けるなど、かねて日本とのかかわりが深い。

(小柴里沙、萩原日向子)

(インド、日本)

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