オーストラリア最大規模の食品展示会「Fine Food」が開催、拡大する日本食市場

(オーストラリア)

シドニー発

2025年09月30日

オーストラリア最大規模のBtoB 食品展示会「Fine Food」が202598日~11日にシドニーで開催された。同イベントは毎年、シドニーとメルボルンで交互に開催されており、2024年は約24,000人の来場客が訪れた。出展企業の製品カテゴリーは幅広く、国内外の事業者による食品、パッケージ、調理機材、飲料、菓子などがあった。

今回、日本からは国税庁主催の酒類ブース(15社)を含め、菓子類、調理機械、冷凍食品などを扱う23社が出展した。出展企業によると、日本製品に対して多くの引き合いが寄せられ、現地での日本食・日本製品への関心の高さがあらためて確認された。

特ににぎわいを見せたのは抹茶関連製品のブースで、日本企業および現地企業を含め約10社弱が出展した。出展商品は粉末抹茶のみならず、非日系企業が抹茶を使用し現地市場向けにローカライズした商品(抹茶ピスタチオフレーバーアイスクリームなど)を紹介するなどした。出展企業によると、オーストラリア現地大手スーパーマーケットの仕入れ担当者や飲食チェーン店関係者から引き合いがあるなど、関心の高さがうかがえた。また、国外からもバイヤーが来場し、抹茶関連製品のサプライヤーを探す動きが活発だった。

写真 全日本菓子輸出促進協議会のブースでは近年現地バイヤーから引き合いの多い日本の菓子類を展示(ジェトロ撮影)

全日本菓子輸出促進協議会のブースでは近年現地バイヤーから引き合いの多い日本の菓子類を展示(ジェトロ撮影)

培養肉のスタートアップVowも出展した。同社は、20256月にオーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)より、オーストラリアで初めて培養肉製品の販売認可を取得し、注目を集めている。同社が開発した培養ウズラ肉は、日本産ウズラ肉胚由来の線維芽細胞を用いて培養したもので、展示会ではこの製品を使用したパテなどの試食を提供した。同社の製品はレストラン向けに販売を開始しており、今後、BtoC市場への展開も期待されている。

写真 (左)Vow社の出展ブース、(右)Vow社が開発した日本ウズラ使用商品の試食品(ともにジェトロ撮影)

(左)Vow社の出展ブース、(右)Vow社が開発した日本ウズラ使用商品の試食品(ともにジェトロ撮影)

近年、オーストラリアでは日本食品に対する関心と需要が高まっており、これまで日本食材を取り扱ってこなかった小売店や輸入卸企業が新たに取り扱いを開始する動きが見られる。特に、従来は参入が困難とされていた現地大手スーパーマーケットにおいても、日本食品の取り扱いが増加しており、オーストラリア国内全体への商品流通の機会が拡大している。

(小笠原まりさ、瀧山典子)

(オーストラリア)

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