中国大手滴滴傘下のブラジル配車アプリ「99」、デリバリー事業に20億レアルを追加投資
(ブラジル、中国)
サンパウロ発
2025年09月30日
中国の配車サービス大手の滴滴出行(DiDi)傘下のブラジル配車アプリ「99」は9月15日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と面談し、同社のフードデリバリー事業「99Food」に対し、2026年6月までに20億レアル(約560億円、1レアル=約28円)の追加投資を行う計画を発表した。これは、2025年4月に発表された10億レアルの投資額を倍増するもの。
このうち、5,000万レアルは配達員向けの休憩所設置に充てられ、飲料水やトイレなどの基本設備を提供することで労働環境の改善を図る。DiDiの程維最高経営責任者(CEO)はブラジル大統領府公式サイト(9月15日付)で、「今回の追加投資は、DiDiのグローバル戦略におけるブラジルの重要性を示すものだ。ブラジルのように規模、革新性、そして成長機会を兼ね備えた市場は珍しい」と述べた。
また、「99」は電動バイクの購入・レンタル支援として、チリのフィンテック企業ガルゴ、ブラジルの電動バイク・スクーターのメーカーRibaやレンタル事業者Vammoと連携し、配達員向けに総額60億レアル規模の融資プログラムを展開する予定。今後3~5年で最大60万人の配達員が対象となる見込み。
現地紙「バロール」(8月12日付)によると、同社は2020~2023年にブラジルでフードデリバリー事業を展開したが、国内最大手アイフージ(iFood)に対抗できず撤退した。しかし、同社ブラジル事業責任者の王斯梦氏は同紙のインタビューで、当時は未熟だったが、メキシコやコロンビアでの経験を経て、今では世界で重要なプレーヤーとなったと述べた。
現在、フードデリバリー事業はサンパウロ市およびゴイアニア市で展開されており、2025年内に15都市、2026年1月末までに20都市への拡大を目指すという(注)。
(注)ゴイアニア市では2025年6月16日、サンパウロ市では8月12日に「99Food」のサービスを開始。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、中国)
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