関税コストへの懸念は続き、価格転嫁に課題も、ジェトロの米国関税措置に関するアンケート

(米国、日本)

調査部米州課

2025年09月10日

ジェトロは9月10日、米国トランプ政権の関税措置に関するクイックアンケート第2弾の調査結果PDFファイル(0.0B)を発表した。4月に日本企業など7,589件を対象に実施した大規模アンケート調査の第2弾となる。本調査は、ジェトロが8月14日に行った「【緊急ウェビナー第2弾】日米関税合意:企業が知っておくべきポイント」の申し込み者を対象に実施し、日本企業など3,234件の回答を得た。

関税コストへの懸念は続くも、影響見極めが難しく現状維持が最多

米国による追加関税措置が米国市場での競争力に与える影響については、「関税にかかわるコストにより、競争力が低下する」とした回答が49.6%と最も多く、第2次トランプ政権により高い関税水準が続くことへの懸念をあらためて反映する結果となった。他方、変化の激しい関税政策に対して、影響を見極められないとした企業も多く、「影響不明・判断できない」との回答は47.0%に達した。関税措置への対応は、価格を含む取引条件などの「現状維持」が48.0%と全ての選択肢の中で最多を占めた。

対応策の1つ、価格転嫁の先行きは不透明

関税措置への対応策として「価格転嫁」を挙げた回答者は全体の37.7%に上る一方、実際に「価格転嫁した/できる見込み」と答えたのは9.6%にとどまった。また、全体の48.5%は実際に「価格転嫁できるか不明」と回答し、企業にとって価格交渉の見通しが不透明な状況が続いていることがわかった。

新たな海外展開先はASEAN・インドが筆頭に

関税政策を踏まえて、新たな海外展開先の候補を挙げた回答は、1,000件を超えた。新たな調達先・生産地の具体的な候補を国・地域別にみると、ASEAN諸国(33.3%)およびインド(27.9%)が回答の上位を占めた。新たな販売先についても、同様の傾向〔インド(32.8%)、ASEAN諸国(29.4%)〕となり、新たな海外展開先として同国・地域への注目度の高さが示された。

(小谷田浩希)

(米国、日本)

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