アフリカの課題に挑む、関西発のビジネスや再エネ事業を紹介
(日本、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、ガーナ)
海外ビジネスサポートセンタービジネス展開課
2025年09月02日
大阪で8月23日に開催された「関西アフリカビジネスフォーラム」(2025年8月28日記事参照)で、アフリカで事業を展開する関西企業6社が取り組みを紹介した。
- サラヤ:ウガンダで、アルコール系手指消毒剤を現地生産。ケニアでは、地元海産物の輸送支援や飲食店に衛生加工機器を導入するなど、フードバリューチェーン構築に向けた取り組みを展開。ティラピアやナマズなどの地元の冷凍魚を「SARAYAブランド」で販売。
- 音羽電機工業:ルワンダで雷害対策の事業を展開。同国は、赤道直下に位置し、高温多湿であるため、雷の発生密度が世界でトップレベル。情報通信技術(ICT)産業が急成長する中、雷害により電力・通信インフラが深刻な影響を受けている。これを受け、同社は避雷針の設置や管理方法の指導・研修コースの提供などにより、同国の雷害対策に貢献。
- 大原薬品工業:創業からジェネリック医薬品事業を展開。ナイジェリアのFIDSON Healthcareと、2019年に戦略的資本・業務提携契約を締結し、アフリカ市場へ本格参入。ナイジェリアは、小児(0〜14歳)のHIV感染者が世界2位(約22%)で、出生率が高く、小児HIVの絶対数が多い。2030年までに小児感染症撲滅を目指すという国連合同エイズ計画(UNAIDS)の目標に向け、同社との連携により医療ソリューションを提供。
- シスメックス:血液検査を中心としたメディカルデバイスの開発・製造・販売を行う。アフリカでは、マラリアやHIV関連の検査装置を提供。ガーナでは、味の素ファンデーション、NECとの3社連携により、母子の保健と栄養の改善に取り組んでいる(注1)。
- Sunda Technology Global(スンダテクノロジーグローバル):ウガンダの農村地域に、プリペイド式水道料回収システム(注2)を提供。導入前は、井戸の責任の所在が曖昧で、壊れても放置されることが多かったが、同社システムの導入により、少額で修理や保守が迅速に行われ、持続可能な水供給を実現。ウガンダですでに300基以上が設置され、約10万人が利用。
- KUBOTA KENYA(クボタケニア):初期は日本のODAや経済協力を通じてアフリカに展開していたが、2022年には民間主導のアフリカプロジェクトが本格化した。現在アフリカ15カ国に代理店を設置しており、主に農耕機械や発電機を販売。
関西企業登壇の様子(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションでは、日本企業が水素・再生エネルギーの取り組みを紹介した。つばめBHBは、アンモニア製造の新技術を持ち(2023年9月22日記事参照)、アフリカにおいては小型分散型アンモニア合成装置の実装可能性に期待を示した。荏原製作所は、水素の長距離輸送や貯蔵に直結するポンプ技術などハード基盤に強みを持つ。両社とも、日射量や風況が豊かなアフリカの再生可能エネルギーのポテンシャルに言及した上で、地域自らがエネルギーを生み出し消費する「地産地消」のニーズに応えていくと話した。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(注1)国連世界食糧計画(WFP)との連携を通じた、異業種3社によるガーナの母子健康プロジェクト。各社の役割として、シスメックスは、マラリア診断装置の導入や医療従事者への教育を実施。味の素ファンデーションは、栄養補助食品の供給体制を構築。NECは、健康診断・栄養指導アプリケーションを開発している。
(注2)既存の手押しポンプに取り付けて使う、プリペイド式の給水システム。住民はモバイルマネーで水代をチャージしたICタグを挿入することで、水をくむことができる。
(藤本海香子)
(日本、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、ガーナ)
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