「OKTOBERFEST」は商標か、秋の祭典名に潜む知的財産リスク
(EU、ドイツ)
デュッセルドルフ発
2025年09月29日
秋の風物詩として世界中で親しまれているビールの祭典「オクトーバーフェスト」が発祥地のドイツ・ミュンヘンで9月20日に始まった。誰もが知るこの名称だが、欧州では商標として保護されているため、使用には注意が必要だ。
オーストリア特許庁は9月20日、「OKTOBERFEST」がEUの知的財産庁(EUIPO)に登録された商標であることを紹介し、ミュンヘン市が2021年9月に取得したもので、印刷物、衣類、観光広告、旅行手配、ホテル業、ウェブサイト運営などが保護対象となっているとした。
一方、EUIPOは食品類(第29・30・32・33類)、祭典開催(第41類)、飲食提供(第43類)、については、識別力がないとして登録を認めなかった。このため、「OKTOBERFEST」と書かれたクッキー(例:レープクーヘン)を販売すること自体は、EU域内では商標権の制限を受けないと解釈される。ただし、包装や販促物に同語を用いて、保護対象となる物品を販売することや、旅行などのサービスを手配することと結びつける場合は注意が必要だ。
誰もが知る名称でも、実は商標登録されている可能性がある。対象国・地域での商標登録状況を使用前に十分に確認することがリスク回避の第一歩となる。
(吉森晃)
(EU、ドイツ)
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