上半期のメキシコ対内直接投資は過去最高を更新
(メキシコ)
調査部米州課
2025年09月04日
メキシコ経済省外国投資局(DGIE)は8月21日、最新の対内直接投資統計を発表した。それによると、2025年上半期(1~6月)の対内直接投資額(国際収支ベース、フロー)は342億6,500万ドルで、前年同期比10.2%増となり、上半期としては過去最高額を更新した(添付資料表1参照)。
投資額の構成比をみると、利益再投資が84.4%、新規投資が9.2%、親子間勘定が6.4%だった。特に大きな伸びを示したのは新規投資で、前年同期比3.5倍の31億4,900万ドルに上った。国・地域別にみると、147億300万ドルを計上した米国が最も多く、全体の42.9%を占めた。スペインが17.3%で2位、カナダが5.1%で3位と続いた。日本は過去最高を記録した前年からの反動減で、前年同期比53.1%減の14億4,400万ドル(構成比4.2%)で4位だった。スペインは前年の償還超過から大きく回復するかたちとなったが、7月には再生エネルギー事業を手掛けるコックス・エナジー(Cox Energy)がスペイン系電力大手イベルドローラのメキシコ拠点を42億で買収し、2025~2030年に107億ドルの投資を発表するなど、好調が続いている。
産業別にみると、投資額の36.0%を占める製造業は、前年同期比25.9%減と不調だった(添付資料表2参照)。米国の追加関税の影響を強く受ける自動車産業を含む輸送機器製造分野では、前年同期比36.1%減となった。反対に、投資額の26.7%を占める金融・保険は、前年比90.8増と好調だった。最も多くの投資を受け入れたのは首都メキシコ市で、全体の56.4%(前年同期比36.1%増)を占めた(添付資料表3参照)。製造業が集積する北部のヌエボレオン州は前年同期比31.6%増と好調だった一方、同じく北部のバハカリフォルニア州(同12.9%減)や、日本企業が多く進出するグアナファト州(同35.6減)などでは投資が縮小しており、州ごとに差がみられる。
今回の結果について、DGIEはプレスリリースで「世界的な政治・経済状況の中、外国投資家が引き続きメキシコへの関心を持っていることがあらためて示された」とコメントした。また、クラウディア・シェインバウム大統領は、8月21日の会見で「(米国による追加)関税もメキシコ経済を止められなかった」と述べ、投資先としてのメキシコの魅力を強調した。
(加藤遥平)
(メキシコ)
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