日印首脳会談、対インド民間投資目標を今後10年で10兆円に

(インド、日本)

調査部アジア大洋州課

2025年09月10日

インドのナレンドラ・モディ首相は、8月29日から30日にかけて日本を訪問した。29日に日本の石破茂首相との間で行われた日印首脳会談では、基本的な価値を共有する両国が相互補完的な関係を構築していくことを確認した。また、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の重要性を確認し、米国とオーストラリアを含めた日米豪印の幅広い分野で引き続き連携していくことで一致した。会談後には「日印首脳共同声明」ほか、今後10年の両国の協力の方向性を示した「今後10年に向けた日印共同ビジョン」などが発表された。

首脳会談のポイントは次のとおり。

(1)経済・投資・イノベーション分野:

  • 2022年に掲げた対印民間投融資5年5兆円目標を3年間で達成した成果を歓迎
  • 今後10年での対印民間投資目標を新たに10兆円と設定
  • 半導体や人工知能(AI)などの分野での協力の重要性を共有し、「日印デジタル・パートナーシップ2.0」および「日印AI協力イニシアティブ(JAI)」の立ち上げ
  • 日本のスタートアップ企業のインドでのビジネス展開支援を推進
  • 2国間クレジット制度(JCM)を日印間で構築
  • モビリティ分野における日印協力の一層強化に向け「次世代モビリティ・パートナーシップ」を立ち上げ

(2)安全保障・防衛分野:

  • 2008年に発表した「日印安全保障協力に関する共同宣言」の改定
  • 重要物資のサプライチェーン強靭化などを目的に日印で「経済安全保障イニシアティブ」を立ち上げ

(3)人的交流:

  • 高度人材をはじめとするインド人材が活躍することで日本経済の成長や、地方創生の促進を目的とした「日印人材交流イニシアティブ」を発表
  • 地方自治体間のパートナーシップ推進を後押しすることで一致

(4)FOIP、日米豪印:

  • FOIPの重要性を確認
  • モディ首相は「インドにとって日本は重要なパートナーであり、日米豪印を含めた幅広い分野での協力を深めていく」と発言
写真 握手するモディ首相と石破首相(日本の首相官邸サイトより)

握手するモディ首相と石破首相(日本の首相官邸サイトより)

30日には、モディ首相が石破首相と共に宮城県を訪問し、E5系新幹線運転台を見学したほか、半導体大手の東京エレクトロンの宮城工場を視察した。

写真 新幹線内を視察するモディ首相と石破首相(日本の首相官邸サイトより)

新幹線内を視察するモディ首相と石破首相(日本の首相官邸サイトより)

(深津佑野)

(インド、日本)

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