日立レール、米メリーランド州に新工場開設、500人超の雇用創出
(米国)
ニューヨーク発
2025年09月11日
日立レールと米国メリーランド州政府は9月8日、同州ヘイガーズタウン市に建設した「デジタル工場」の開所式を行ったと発表した。新工場の延床面積は約3万平方メートルで、総投資額は1億ドルを超える。同工場の稼働により、500人以上の新規雇用が創出される見通し。関連産業を含めた地域全体の雇用効果は1,300人超、賃金効果は年間3億5,000万ドル規模と試算されている。
同工場は、人工知能(AI)やデジタル技術を活用した最先端の生産拠点で、首都ワシントンやボルチモア市(メリーランド州)、フィラデルフィア市(ペンシルバニア州)の地下鉄車両などを製造する。車両には、AI解析による安全監視や衝突防止技術などを搭載。生産現場におけるデジタル関連投資として3,000万ドル超を投入し、2021年に日立製作所が買収した米IT企業のグローバルロジックなどの技術を導入して、製造工程やサプライチェーンの可視化、自動化を進める。
また、持続可能性にも重点を置く。再生可能エネルギー由来の電力を使用し、AIシステム「H-Vision」でエネルギーや水使用を管理。操業初日から廃棄物ゼロを達成し、周辺に400本以上の植樹を行う。年間で約80万キログラムの二酸化炭素(CO2)排出削減効果を見込む。
日立製作所の徳永俊昭執行役社長兼最高経営責任者(CEO)は、同工場を「日立独自の力を示す灯台」と位置付け、デジタルと鉄道技術の融合を強調した。日立レールダイレクターのジュゼッペ・マリノ氏は、月20両規模の生産能力を備えると述べ、北米各地への供給拠点とする考えを示した。
なお、メリーランド州のウェス・ムーア知事(民主党)は2023年の着工時にも現地を視察しており、今回の稼働を「同州が将来の産業への投資に適した場所と再確認できるもの」と評価した。
(大原典子)
(米国)
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