南ア政府、貿易交渉団を米国に派遣

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年09月17日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は9月9日、米国との貿易交渉のための代表団を同国に派遣中であることを明らかにした。経済的解放の闘士(EFF)のジュリアス・マレマ党首による、米国の対南ア関税30%に対する政府の対応を尋ねた国会質問への答弁においてこのように述べた。さらに、ラマポーザ大統領は、貿易交渉は終わっていないとも述べ、南ア側も報復措置をとるべきとの主張にはあらためて反対した〔9月9日付国営南ア放送協会(SABC)報道〕。

答弁によると、大統領府と貿易産業競争省は現在米国に代表者を派遣しており、数日中に行われる予定の米国政府とのさらなる正式交渉に向けて準備を進めているという。派遣中の代表団はニューヨークとワシントンの両方で、政権の代表者、議員、実業家を含む多くの利害関係者と会談しているもようだ。

マレマ氏が、ドナルド・トランプ大統領による関税発動後、南ア政府のアプローチは宥和(ゆうわ)政策であり、ほとんど「物乞い」に等しいものではないか、中国、カナダなども報復関税を発表している中、BRICS諸国やその他の南半球諸国との貿易拡大を目指さないのか、と質問した。それに対し、ラマポーザ大統領は「選択肢はさまざまあるが、私たちは米国と交渉する道を選んだのだ」と回答した。その上で、「報復すると言うのは結構だが、報復して達成したいことを明確にし、それが正確に達成できなくてはならない」と反論した。そして、米国と交渉するのは、米国への輸出を継続するためであり、相互に投資するためだと付け加えた。また、「南アが持つ鉱物資源の優位性も交渉のテーブルに持ち込み、交渉材料として活用し、予測不可能で一方的措置をとる米政権が相手であっても、成果を生み出す戦略だ」と強調した。

ラマポーザ大統領は、「私たちは懇願もせず、ひざまずくこともなく、主権国家として南アにとって最良の条件を交渉し実現する」と答弁した。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

ビジネス短信 4520a6528e95d444