セネガルのジョップ産業・通商相、中部ファティック州の農産加工拠点を訪問

(セネガル)

アビジャン発

2025年09月30日

セネガルのセリニュ・ゲイ・ジョップ産業・通商相は9月18日、中部ファティック州ムベラカジャオに建設中の農産加工拠点を視察した。同拠点には、民間企業による農産加工ユニットや貯蔵庫の設立を目的とする8つの区画、井戸や飲料水供給ネットワーク、主要道路へのアクセス、大型車両も利用できる駐車場、排水、電気、コンピュータ設備が備えられており、ジョップ産業・通商相は民間企業に対して、この施設の活用を呼びかけた。また、行政当局、地方自治体、民間企業などの関係者が集まる委員会において、企業誘致のための委員会の設置、農産加工拠点拡大のための関係者との連携強化、カシューナッツ、園芸作物、漁業、非木材林産物(注1)を含めた対象セクターの多様化、投資家を動員するためのファティック投資フォーラムの開催を提言した。現地報道によると、同農産加工拠点は2カ月以内の開業を予定している(9月20日付ル・ソレイユ)。

同農産加工拠点は、セネガル政府が進める国家アグロポール(注2)開発プログラム(PNDAS)の一環で、ベルギー政府の協力により進められている。PNDASは、セネガル政府が掲げる変革ビジョン「セネガル2050」の中に位置付けられ、農産加工の促進とバリューチェーンの最大限の活用を通じて、経済構造の変革、食料主権の達成、貿易赤字の削減、地域間格差の是正、若者や女性のための雇用創出を目指している。PNDASは、南部、北部、中部、西部、東部の5つで構成され、合計47の農産加工拠点の開発を予定している。2025年1月の一般政策演説において、ウスマン・ソンコ首相は「農産加工開発の原動力となるアグロポールは、協同組合の仲介を通じて、農業生産者が集荷業者や加工産業へのアクセスを可能にする上で重要な役割を果たす。加工ユニットを生産地に近づけることで、収穫後の損失を軽減し、在庫の可視化、生産管理の最適化に貢献する」と期待を示した。

ムベラカジャオ農産加工拠点が位置する中部地域の「アグロポール・セントラル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、総事業費1,180億CFAフラン(約318億6,000万円、1CFAフラン=約0.27円)をかけて、ファティック州、カオラック州、ジュルベル州、カフリン州に合計22の農産加工拠点の建設することが予定されている。優先セクターはピーナツ、穀物、塩で、直接雇用12万9,500人、間接雇用20万8,800人の創出が見込まれている。

(注1)森林で得られる木材以外の産物の総称、果実、きのこ、木の実、樹脂、蜂蜜など多義にわたる。

(注2)フランス語で農業(agro)と経済活動の拠点(pole)を組み合わせた概念を表す造語。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(セネガル)

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