鉄道貨物輸送の民間への参入機会提供、一歩前進
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年09月04日
南アフリカ共和国のバーバラ・クリーシー運輸相は8月26日、第14回南部アフリカ鉄道協会(SARA)国際鉄道会議・展示会で、南ア政府が物流に関わる改革を推進中だと強調し、民間企業に鉄道・港湾事業への新たな投資を呼びかけた。同展示会は「アフリカの未来に向けた輸送~鉄道分野の発展によるアフリカ全域の移動と経済の発展~」と題して、8月26日から29日までヨハネスブルクで開催された。
クリーシー運輸相は、南ア政府が鉄道を運輸システムの「基幹」とする方針を表明した。このため、鉄道による貨物輸送の強化と貨物量の増加に向け、民間事業者の参入機会を提供すると述べている。改革の一環として8月22日には、6つの鉄道回廊にまたがる合計41路線を最大10年間運営する事業に対して、11の民間運営事業者を初期申請基準に基づいて選定した。今後は選定した民間事業者との交渉や契約など次のプロセスに移っていく。鉄道回廊には石炭や燃料、鉄鉱石、クロム、マンガン、砂糖などの商品輸送が想定されている。新規の鉄道運営会社は、2026/2027会計年度(2026年4月~2027年3月)から年間2,000万トンの貨物輸送の増加が見込まれ、2029年までに政府が目標とする年間2億5,000万トンの鉄道貨物輸送量に貢献する見通しだ。クリーシー運輸相は「これは鉄道改革の道のりの重要な一歩だ。貨物鉄道の包括的な成長を促し、雇用維持・創出を確保し、より効率的で信頼性が高く持続可能な鉄道システムを実現する」と述べた。また、南ア政府は「国家鉄道マスタープラン(National Rail Master Plan)」の最終調整を進めており、同マスタープランは今後30年間の南ア鉄道部門の変革を導く枠組みとなる。
経済団体ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)のビシスウェ・マブソ最高経営責任者(CEO)は、こうした民間企業への事業の割り当てに対して「これは国家物流危機委員会(NLCC)を通じて私たちが提唱してきた計画に沿った一歩だ」として、進展を評価した一方、「本当の試練はこれからだ。事業割り当ては列車を運行するよりも簡単で、2年経っても法廷で行き詰まっているダーバンコンテナ港の譲渡のように停滞することはできない」と述べた。
(トラスト・ムブトゥンガイ、多崎央)
(南アフリカ共和国)
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