米食品大手クラフト・ハインツ、会社を2分割する計画発表
(米国)
シカゴ発
2025年09月04日
米国食品大手のクラフト・ハインツ(本社:イリノイ州)は9月2日、同社の事業を2つの独立した上場企業に分割する計画を発表した。同社はハインツブランドのケチャップなどのソースや調味料、フィラデルフィアブランドのチーズなど、グローバルな製品ラインを主な商品とする、売り上げ成長率の高い「グローバル・テイスト・エレベーション」と、成長が鈍化しているソーセージなどの加工肉やスナックなどのブランドを擁する「ノース・アメリカン・グローサリー」の2つの会社に分割する。会社の正式名称は後日決定するという。
同社のミゲル・パトリシオ取締役会議長は「現行の事業体系は構造が複雑なため、資本の効率的配分や、取り組みの優先順位付け、最も有望な分野での規模拡大が困難だ」とし、「2社に分割することにより、各ブランドの潜在能力を引き出し、各事業に適切な注力とリソースを配分することが可能となる」と述べた。
今回の企業分割について、投資家は分割コストや事業の成長計画に関して懐疑的なようだ。発表日2日の正午時点でクラフト・ハインツ株は6.4%安の26.20ドルで取引された(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版9月2日)。アナリストからは、「クラフト・ハインツ社の業績不振の原因克服には長い年月にわたる投資と改善が必要で、単なる企業の分割によって解決できるとは考えにくい」という指摘も聞かれる(ロイター9月2日)。
近年の食料品の価格上昇によって、価格を気にする消費者層は節約のために大手ブランドの製品よりも、スーパーマーケットのプライベートブランド(PB)製品を選択する傾向にある。一方、食料品に喜んで金をかけるという層では、加工品よりも新鮮な代替品を選ぶケースが増加している。同社の経営陣は、このような傾向に加えて、経済見通しの不透明感などからくる「歴史的に低い消費者心理」も近年の業績不振の一因として考えているようだ(NPRニュース9月2日)。
(星野香織)
(米国)
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