ウクライナ、韓国製高速電車20編成を購入へ

(ウクライナ、韓国)

キーウ発

2025年09月29日

ウクライナのオレクシー・クレバ副首相(ウクライナ復興担当)兼地域社会・領土開発相は9月23日、韓国の具潤哲(ク・ユンチョル)経済副総理(副首相)兼企画財政部長官と電話会談を行い、韓国の有償資金協力基金(EDCF)の枠組みによる両国間の協力の進展を議論した。ウクライナはこの枠組みに基づき、韓国製高速電車20編成を購入する意向で、クレバ副首相は「両国間における最大の経済プロジェクトであり、ウクライナの鉄道システムの近代化に向けた大きなステップになる」と述べた。プロジェクトでは、韓国の鉄道車両メーカー大手が参加する入札が予定されている。

クレバ副首相は2025年9月中旬に韓国を訪問しており、ソウルにおいて韓国輸出入銀行およびEDCFの代表者と本プロジェクトに関する会談を行ったほか、車両メーカーの代表者とも面会した。

ウクライナ閣僚会議(内閣)は9月10日、同国政府から韓国政府への「韓国製高速電車20編成の購入」のための融資供与に関する書簡案を承認した。ウクライナ最高会議(議会)のタラス・メリニチュク政府代表は自身のSNSで、この書簡案の承認により、「EDCFからの優遇融資を使い、韓国製高速電車が購入されることが確実となった」と述べた。

ウクライナおよび韓国両政府は、2024年4月にEDCFからの融資に関する枠組み合意書に署名、文書は同年9月に発効した。国営ウクライナ鉄道の2024年8月22日のプレスリリースによると、この融資が高速電車の調達に充てられる。調達の総費用は約4億5,000万ドルで、5年間の列車のメンテナンス費用も含まれる。年間で600万人の乗客輸送の増加の実現を見込む。列車の納入は契約締結から18~24カ月以内とし、部分的な現地生産化の可能性も検討されている。EDCFによる融資期間は最長40年で、最初の10年は返済が猶予される。

韓国はすでに、ウクライナに現代ロテム製の高速電車10編成を2012年から納入した実績がある(2013年2月15日記事参照)(注)。各列車は9両編成で、最高速度は時速160キロ。同社の電車は、国内の主要都市を結ぶ高速列車「インターシティ+」として運行されており、ウクライナでは「ヒュンダイ」という言葉は同国を走る「高速鉄道」の意味として広く普及した。

(注)ウニアン通信が2012年に報じたところによると、10編成の調達契約額は3億700万ドルで、このうち85%は韓国輸出入銀行の10年融資で賄う。

(坂口良平)

(ウクライナ、韓国)

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