中国、デジタル消費の発展推進に向けた意見を発表

(中国)

北京発

2025年09月30日

中国の商務部など8部門は9月24日、「デジタル消費の力強い発展およびデジタル時代の美しい生活の共創に関する指導意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注1)を発表した(文書は8月25日付)。同意見は、多様化・差別化されたデジタル消費の潜在力を引き出すことで新型消費を発展させ、消費の質の向上・高度化を推進することを目的としている。

同意見では、(1)デジタル消費分野の供給拡充、(2)デジタル消費経営主体の育成・強化、(3)デジタル消費支援システムの最適化、(4)良好なデジタル消費環境の創出の4分野、14項目の取り組みを挙げている。

(1)「デジタル消費分野の供給拡充」では、人工知能(AI)搭載スマートフォン、パソコン、スマートロボット、ウェアラブルデバイス、デスクトップ型3Dプリンターなどの新製品の消費潜在力を引き出すことのほか、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)(注2)の市場参入および路上走行テストを実施するとした。

(2)「デジタル消費経営主体の育成・強化」では、デジタル消費分野で影響力・競争力のある「専精特新」中小企業(注3)の育成を加速させるほか、条件を満たす企業をハイテク企業と認定することを支持するとした。

(3)「デジタル消費支援システムの最適化」では、中国国際輸入博覧会、中国国際消費品博覧会、世界デジタル貿易博覧会で世界デジタルのイノベーション成果の初発表・初披露・初出展の推進を検討するとした。また、クレジットカードなどの決済機関と国際決済プラットフォームの相互接続を加速し、訪中外国人などに対する決済サービスの利便性を向上させるとした。さらに、デジタル消費分野の中小企業に対し、政府系保証機関の支援による資金調達力の強化を推奨するとした。そのほかに金融支援として、条件を満たすデジタル消費プロジェクトに対する、債券の発行や資産の証券化などによる資金調達支援や、条件を満たす地方における、利子補給やリスク補償などを通じたデジタル消費企業の調達コスト削減を推奨するとした。

(4)「良好なデジタル消費環境の創出」では、電子商取引(EC)の優位性を発揮し、消費財の買い替えを促進するほか、高品質な海外製品・サービスに対し、電子商取引を通じて中国市場への参入を支持するとした。

(注1)デジタル消費には、デジタル製品・デジタルサービス・デジタルコンテンツの消費およびデジタルチャンネルを通じた消費が含まれる。

(注2)Intelligent Connected Vehicleの略称で、AIや高度の通信技術を導入し、安全性や効率性の高い自動運転を可能とする自動車の総称。

(注3)専門性を有し、精密な技術力を持ち、独自性のある、革新的な中小企業を指す。

(蔣春霞)

(中国)

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