中国のBYD、マレーシアにNEV工場建設へ、輸出拠点としての活用も

(中国、マレーシア)

上海発

2025年09月03日

中国の自動車大手の比亜迪(BYD)は8月22日、マレーシアでセダン「海豹(シール)」の新モデル発売とともに、コンプリートノックダウン(CKD)方式の新エネルギー自動車(NEV)の工場を建設すると発表した。投資額、生産モデルなどの詳細は発表していないが、2026年に本格的に生産を開始する予定だ。同日にBYDブランドを取り扱う36番目の販売店が現地で開店し、傘下の高級ブランド「騰勢(デンザ)」の店舗と合わせると、同社のマレーシアでの販売店は計43店舗に上る。

マレーシアはBYDにとって東南アジアで最も重要な市場の1つだ。同社のバッテリー式電気自動車(BEV)販売台数は現地市場で3年連続の首位となっており、セダン「海豹(シール)」も2024年度に同市場で最も売れたBEVとなった。

ここ数年、BYDは積極的に海外市場を開拓しており、2025年7月時点で100以上の国・地域で販売している。2025年上半期(1~6月)の海外販売台数は前年同期比2.3倍の47万台で、2025通年でみると、80万台に達する見通しだ。中国からの輸入車にEUなどが課す高関税を避けるためともみられるが、同社は中国からの輸出に加えて、海外で生産拠点の整備も進めている。東南アジアではマレーシアのほか、タイ、インドネシア、カンボジアにも工場を建設している。

BYDは8月25日、タイの工場から英国、ドイツ、ベルギー向けにBEV約900台を自社の運搬船で輸出すると発表した。同工場はBYDの初めての海外乗用車生産工場で、生産能力は年間15万台、7月までの納車数が累計9万台に達したという(「人民網」8月26日)。

(劉元森)

(中国、マレーシア)

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