ジェトロと浜松市など、ASEANビジネスセミナー開催、米国関税がASEAN市場に与える影響解説

(日本、ASEAN、米国)

浜松発

2025年09月17日

ジェトロは浜松市、スズキ協力協同組合と共催で9月8日、同市内ホテルで「ASEANビジネスセミナー-揺れる米国トランプ関税政策とASEANビジネスへの影響」を開催した。製造業をはじめとする大企業や中小企業、金融機関、大学関係者を中心に50人以上が参加し、米国の通商政策の変化がASEANを含むグローバルサプライチェーンに及ぼす影響について理解を深めた。

講演ではジェトロ・アジア経済研究所研究企画部の若松勇上席主任調査研究員が登壇し、第2次トランプ政権下では米国経済に関税の負の影響はまだ顕在化していないものの、企業による価格転嫁が今後本格化するため、影響を注視する必要があると指摘した。

また、第1次政権以降、中国依存からの分散先としてASEAN市場へのサプライチェーン移行が進んだことに触れ、現状でもASEANが関税率の面で中国より有利な構図を維持していると説明した。在ASEAN日系企業の輸出に占める米国向けの割合は平均5%程度とされ、直接的な影響は限定的ながら、関税戦争による世界的な景気悪化や中国製品のASEAN市場への流入による競争激化など、間接的な影響への懸念が広がっていると述べた。

講演後、米国の経済政策や景気の見通しについて活発な質疑応答が行われ、参加者の関心の高さがうかがえた。参加者からは、「米国の通商政策に関する断片的な報道は多いが、ASEANと米国のビジネスに関する情報は少なかったため、今回体系的に理解できた」「中国のASEANに対する投資の話に関心を持った。中国製品の流入先として、どこで増えていくのか、動向を分析していきたい」との声が寄せられた。米国の政策がASEANに及ぼす影響だけでなく、それに伴う中国企業の動向への関心の高さもうかがえた。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(杉山希実)

(日本、ASEAN、米国)

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