セネガルで「アフリカ食料システムフォーラム」開催

(セネガル、アラブ首長国連邦、マリ、ナイジェリア、英国)

アビジャン発

2025年09月12日

セネガルの首都ダカールで8月31日~9月5日、アフリカ食料システムフォーラムが開催され、官民のリーダーや政策立案者、援助機関関係者など、113カ国から6,000人以上が参加した。開会式に出席した同国のバシル・ジョマイ・ジャファール・ファイ大統領は、世界の耕作可能な土地の65%がアフリカ大陸にあり、創造力に富んだ若者や豊かな水資源も有するアフリカは、地域の食料主権や他国への食糧供給のカギを握ると指摘した。また、農業の近代化や水資源管理、域内加工率の向上、バリューチェーンの構築と域内貿易の推進、イノベーションとデジタル化への投資の必要性を訴えた。

現地の「ル・ソレイユ」紙(9月3日付)によると、アラブ首長国連邦(UAE)は同フォーラム内で、セネガル、マリ、ナイジェリアとの農業・食料システム分野の戦略的投資枠組みの構築に関するパートナーシップ協定の締結を発表した。セネガルのマブバ・ディアネ農業・食料主権・畜産相は、このパートナーシップを通じて、例えば、セネガル川に100キロの灌漑用水路を建設するというような野心的なプロジェクトの実施が可能になると述べた。アフリカ食料システムフォーラムのパテ・セネ事務局長は「UAEは、アフリカにDPワールド(港湾管理会社)を展開し、ロジスティクス的にも比較優位がある」と述べた。

ファイ大統領はまた、フォーラム参加でセネガルを訪問した国際農業開発基金(IFAD)のアルバロ・ラリオ総裁と会談し、共通の優先事項としての食料主権、構造的投資を通じた農村支援、農業の近代化と若者支援、農業を経済・社会変革の中心の1つに据えたセネガル政府が掲げる変革ビジョン「セネガル2050」について議論し、協力関係の強化を再確認した。英国のレイ・コリンズアフリカ担当相とも面会し、両国間の貿易促進と協力関係の強化を再確認した。なお、フォーラム中、英国政府は、農業貿易の活性化とアフリカの食料システムの強化を目的に、国際NGO「アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)」との670万ドル規模の協力合意を発表した(9月5日付「エコフィン・エージェンシー」)。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(セネガル、アラブ首長国連邦、マリ、ナイジェリア、英国)

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