第21回ヤルタ欧州戦略会議、戦争終結への道筋を議論
(ウクライナ、ロシア、米国、欧州、フィンランド)
キーウ発
2025年09月19日
ヤルタ欧州戦略会議の第21回年次会合が、9月12日から13日にかけてウクライナのキーウで開催された。会議には世界30カ国以上から800人を超える政財界のリーダーや専門家、軍人などが参加し、ウクライナにおける戦争の終結に向けた国際的な取り組みや課題について活発な議論が交わされた。
登壇したウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが戦争をやめるためにはウラジーミル・プーチン大統領が戦争のための資源が尽きつつあると感じることが必要と述べた。ロシアに強い圧力を加え、彼らの目標をウクライナや他国の占領から、自国の経済やシステムを守るという目標に切り替えさせる必要があると指摘した。また、戦争終結のためには、ロシアにとって原材料の供給者であり、政治的に依存する中国に影響を与える方法を見つけなければならず、それは米国、欧州、G7の力に大きく依存していると述べた。
米国のキース・ケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)は、中国がロシアへの支援を停止すれば、戦争は極めて迅速に終結するとの見解を示した。また、ロシアには強力な軍隊があるが、彼らが主張するほど強力ではないと述べ、ロシアの国家資産や石油輸出を対象に強力な経済制裁を導入すべきだと主張した。
フィンランドのアレクサンドル・ストゥブ大統領は、ロシアに対する経済的な圧力として、直接的な制裁だけではなく、ロシアの石油やガスを購入する国々への圧力が必要だとの見解を示した。また、戦争終結に向けては、第1段階として一定期間の停戦を実現し、次に和平協定の枠組みを構築するための交渉を行い、最終的にはウクライナに対する「安全の保証」を提供することが必要だと述べた。
ヤルタ欧州戦略会議は、2004年にウクライナの企業家ビクトル・ピンチュク氏によって、ウクライナと欧州の将来を議論するために設立された。2013年までの年次会合はヤルタで実施されていたが、ロシアによるクリミアの「併合」を受け、2014年からキーウで行われている。
(坂口良平)
(ウクライナ、ロシア、米国、欧州、フィンランド)
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