イタリア、太陽光発電200万基達成、ただ減速の懸念も
(イタリア)
ミラノ発
2025年09月01日
イタリア太陽光発電協会(イタリア・ソラーレ)は8月18日、国内の電力網に接続された太陽光発電設備が200万基超になったと発表した。同協会が発表したイタリア送電事業者テルナの統計データによると、2025年1月~7月に新規に接続された太陽光発電設備は13万2,276基で、出力容量は3,354メガワット(MW)。累計接続設備数は201万1,056基に達し、設置容量は40ギガワット(GW)を超えた。
同協会は、太陽光発電が住宅用、産業用、メガソーラーの全分野で継続的に成長しているとし、パオロ・ロッコ・ビスコンティーニ会長は、イタリアのエネルギー価格を低位に安定させるには、進展を妨げる規制や官僚主義を排除し、自家消費と蓄電システムとの統合を支援する仕組みを加速すべきと述べた。同協会によると、太陽光発電の住宅の月間接続電力は2020年の平均22MWから、2024年には140MWに増加した。特に2023年は188MWに達し、政府のエネルギー効率向上を目的とした住宅改修に対する税制控除政策〔通称、スーパーボーナス(注)〕が奏功したとしている。2025年1月~6月は月間平均88MWと低減したものの、スーパーボーナス施行前に比べて4倍となり、優遇策の有無にかかわらず、太陽光発電の需要が定着したとしている。
また、テルナが7月22日に発表した2025年1月~6月の国内の発電電力量の中で、太陽光発電は前年同期比23.1%増の22テラワット時(TWh)に達し、過去最高を記録した。再生可能エネルギー(再エネ)による発電電力量全体の34.5%を占め、2024年の同期に首位だった水力発電と同水準となった。ただし、再エネ全体の発電電力量は64 TWhにとどまり、前年同期比4.4%減となった。電力需要量のうち42%を再エネが賄ったが、前年同期の43.8%を下回る結果となった。
一方、新聞報道では、2025年1月~6月に新規に接続された太陽光発電設備の総出力容量は2,809 MWで、前年同期の3,341MWと比べると16%減、設備数は11万3,465基で、前年同期比33%減少と指摘し、太陽光発電の減速を懸念している。
(注)建物のエネルギー効率や耐震改修など特定の改修に発生した費用に対する税額控除率を110%とした政策。「スーパーボーナス110%」の呼称で、2020年に新型コロナウイルス禍後の経済復興措置として導入した。その後、不正行為多発などの理由で、ジョルジャ・メローニ政権で大幅に見直し、割合を段階的に引き下げている。
(平川容子)
(イタリア)
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