岐阜で経済安全保障セミナーを開催、サプライチェーンや技術流出、海外投資規制について解説
(日本)
調査部国際経済課
2025年09月26日
ジェトロ岐阜は9月12日、中部経済産業局、東海財務局、岐阜県産業経済振興センターや金融機関などと共催で「海外ビジネスにおけるリスク管理セミナー:サプライチェーンの強靭(きょうじん)化と知的財産・技術保護」セミナーを開催した。地域の企業関係者など約30人が参加した。
ジェトロ調査部国際経済課の馬場安里紗リサーチマネージャーは、企業のサプライチェーンに潜むリスクと対策を地政学リスクやビジネスと人権の観点から解説した。ジェトロが2025年3月に公表した日本企業本社に対するアンケート調査の結果から、地政学リスクによる調達への影響を避けるための対策として、「調達先の分散・多元化」を行う企業の割合が61.2%と最も高く、対策が進んでいることが紹介された。また、2024年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)から、「特に日中からASEANへの生産移管が顕著」と指摘した。
経済産業省貿易経済安全保障局技術調査・流出対策室の吉富楓雅係長からは、技術流出対策の重要性や経済産業省における技術流出対策の施策の紹介がなされた。加えて、東海財務局理財部理財課の中北智子主任投資調査官と中部経済産業局地域経済部国際課の笠島達矢総括係長からは、日本の対内直接投資審査制度の説明がなされた。同制度は、外国投資家に対して、指定業種を営む日本企業に対する一定の投資行為を実施する場合に、事前届出の提出を義務付けるもので、届け出に対して制度を所管する財務省および指定業種を所管する事業所管省庁による審査が行われる。
当該企業が指定業種に該当するかの確認方法として、経済産業省の投資管理のウェブサイトで公開されている指定業種の分類表を参照することが推奨される。
参加した地元企業から、「米中関税に対応したサプライチェーンの変更などを、どのように考えればいいか」という質問があった。馬場リサーチマネージャーは「ジェトロが8月に実施したアンケート結果(1.1MB)から、米国の関税措置に伴うビジネス環境の変化を受けた対応策をたずねたところ、多くの日本企業が『現状維持』と回答しており、様子見の段階。ただ、一部の日本企業は米国拠点での調達品について、中国から日本に調達先を変更している」と述べた。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
(峯裕一朗)
(日本)
ビジネス短信 0886adf923612597