インド、農村部向けの包括的保険商品「Bima Vistaar」を2025年内に発売予定

(インド)

調査部アジア大洋州課

2025年09月05日

インドで農村部の人々向けの生命、健康、財産をカバーする保険商品「ビマ・ビスタール(Bima Vistaar)」が2025年12月までに発売される予定だ(「エコノミック・タイムズ」紙9月3日)。同商品は、インド保険規制開発局(IRDAI)が主導する包括的な保険商品だ。生命保険協議会(IAC-Life)のカムレシュ・ラオ委員長は「インドの農村部を対象としたこの商品は、すべての保険会社が1人あたり50万ルピー(約85万円、1ルピー=約1.7円)を補償する」と述べた。同協議会には、インドの国営生命保険会社ライフ・インシュランス・コーポレーション・オブ・インディア(LIC)を含む全26社の生命保険会社が加盟している。

IRDAIは、2025年2月に「ビマ・トリニティー(Bima Trinity)」という国家的な保険普及戦略を掲げている。同戦略は、インド政府が2047年までに全国民が保険に加入することを目指す、「インシュランス・フォー・オール(Insurance for all by 2047)」の目標を達成するために3本柱を打ち出しており、Bima Vistaarはその1つだ。Bima Trinityの3本柱の詳細は次のとおり。

1.ビマ・スガム(Bima Sugam)

2024年6月にIRDAIが展開を開始した統合型デジタルプラットフォーム。生命保険、損害保険などをはじめとした全保険分野に対応しており、保険契約の比較、購入、更新、サービス提供、保険金請求を一括で行うことができる。

2.ビマ・ビスタール(Bima Vistaar)

生命保険、傷害保険、財産保険、入院保険を1つにまとめた包括的保険商品。複数の保険を個別に契約する煩雑さを解消し、低所得層にも手頃な価格で保障を提供する。

3.ビマ・バハーク(Bima Vahak)

女性を中心とした地域密着型の保険販売ネットワーク網で、2025年4月から段階的に導入を開始している。保険の認知度が低い農村部を中心に女性が保険案内人となり、保険教育・加入支援・請求手続きのサポートを提供する。

(野本直希)

(インド)

ビジネス短信 05f4447506760e5d