100歳迎えたマハティール元首相、日本とマレーシアの若者に期待
(マレーシア、日本、ASEAN)
調査部調査企画課
2025年08月12日
「マレーシア近代化の父」と称されるマハティール・ビン・モハマド元首相(注1)は8月6日、福岡市の九州大学で「100歳のリーダーから~争いのない未来を築く処方箋」をテーマに講演した。九州大学が主催し、日本の次世代リーダー養成塾(リーダー養成塾、注2)が共催したもので、会場には学生らを中心に約450人が参加した。
マハティール氏は講演で、分断が進む現在の国際社会に警鐘を鳴らした。また、2025年にマレーシアが議長国を務めるASEANについて触れ、1967年の創立以降、加盟国が経済的、文化的な諸問題を解決しており、優れた機能を持つと紹介し、国連が機能不全に陥る中で話し合いや交渉で平和実現を目指す、より広範囲の国家間組織を創設する必要があるとした。
同日夕には福岡市内のホテルで、7月に100歳を迎えたマハティール氏と99歳の妻シティ・ハスマ氏の誕生祝賀会が開催された。リーダー養成塾が主催したもので、九州経済界、リーダー養成塾の卒塾生らが出席した。マハティール氏は冒頭、訪日はこれで80回を超え、日本の政界から民間企業まで多くの友人を得たとして、「最初の首相就任時、これほど日本がマレーシアにとって大きな存在になり、国交を含めて近しい関係になれるとは思っていなかった」と、うれしそうに語った。
日本企業への期待について、マハティール氏は「ルック・イースト政策を始めた時、日本企業は最初に投資してくれた。引き続き、新たな産業連携の可能性が両国、特に九州にはたくさんあるだろう。今後も若い世代が先導して、マレーシアと日本がさらに絆を強め、良好な関係を築いていくと信じている」と述べた。
福岡市での誕生祝賀会の様子(ジェトロ撮影)
(注1)第4代、第7代マレーシア首相。日本を手本とした「ルック・イースト政策」を提唱。同政策は、戦後日本の成功と発展の秘訣(ひけつ)が国民の労働倫理や学習・勤労意欲、道徳などにあるとして、それらの要素をマレーシアに導入することで同国の経済社会の発展を目指したもの。
(注2)塾長は日本経団連会長の筒井義信氏。マハティール氏をはじめ、各界リーダーを国内外から招き、全国から選抜した高校生を対象に講義などを行うサマーキャンプ。今年で22年目を迎えた。
(樋口彩乃)
(マレーシア、日本、ASEAN)
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