中国・四川盆地で初のシェール油田が認定
(中国)
成都発
2025年08月14日
中国石油化工(シノペック)は7月31日、同社傘下の中国石化国際石油勘探開発と江漢油田(注1)が共同で申請した「復興油田」について、国務院の自然資源部による審査を経て、2,010万6,000トンの原油ならびに123億5,200万立方メートルの天然ガスの地質埋蔵量が正式に認定されたと発表した。同認定により、四川盆地(注2)で初のシェール(頁岩)油田となった。
復興油田は、重慶市の行政区間である忠県、豊都県、万州区、梁平区、墊江県にまたがっており、そのうち、忠県は復興油田の中央に位置し、同県での埋蔵量が全体の55%を占めている。四川盆地は従来、「ガスは豊富だが、石油が少ない」という特徴があり、石油資源が相対的に不足していたため、主に天然ガスの探査開発が中心となっていた。
2012年にフーリンシェールガス田(注3)が発見された後、中国石油化工は大学、研究機関、国家重点実験室のプラットフォームなどと連携し、四川盆地におけるシェールガス・オイルの地質学研究と関連重要技術の開発を体系的に推進してきた。また、国務院は2021年10月に「成渝経済圏の建設規画綱要」を発表し、エネルギー保障の強化を提起した。そのうえで、1,000億立方メートル規模の天然ガスの生産能力基地を建設するほか、石油とガスの探査・開発市場を段階的に開放することなどにも言及した。2020年にはフーリンシェールガス田において復興油田地区の作業グループが発足し、2021年に復興油田でシェールオイル・ガス探査井「泰頁(タイエツ)1号井」の掘削に成功した。1日当たり58.9立方メートルの石油および7.35万立方メートルの天然ガスの試験採取が可能となった。
なお、重慶市は世界水準の天然ガス1,000億立方メートル規模の生産能力基地とハイエンド化学工業の構築を強化しており、復興油田が現地の「油頭(原油供給元)」となることで、化学工場は安定的かつ低コストの地元原料を調達することが可能となる。また、「石油・ガス→化学→新素材」といった、一貫した産業クラスターの構築や現地製造業の競争力向上に貢献するとされている。
(注1)江漢油田は、中国石油化工の石油・天然ガスの探査・開発を主要事業とする、湖北省に拠点を置く中央企業で、湖南省、山東省、陝西省、重慶市、遼寧省など複数の省・市にまたがる6つの石油・天然ガス生産基地を建設した。
(注2)長江の上流域にあり、四方を高い山脈や高原に囲まれた大きな盆地を指す。復興油田は、四川盆地で開発が進められていたシェール油田だ。
(注3)フーリンシェールガス田は、重慶市に位置する中国初の大型シェールガス田で、2025年5月末時点での天然ガス累計生産量は659億立方メートルを記録している。
(曾小桐)
(中国)
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