カンボジア日本人商工会、税務ゴールドステータス取得に向けたセミナーを開催

(カンボジア)

プノンペン発

2025年08月28日

カンボジア日本人商工会(JBAC)は7月31日、税務コンプライアンスにおけるゴールドステータス(注1)取得に関するセミナーを、プノンペン市内およびオンラインで開催した。JBAC税務委員会のメンバーが講師を務め、JBAC会員を対象に、投資環境の改善を目的とした特別税務調査機関の概要やゴールドステータスの制度について解説した。ゴールドステータスを取得した企業はカンボジア租税総局(GDT)による税務調査が簡略化され、企業側の負担が軽減されることから取得が推奨される。

カンボジアの税務調査は、税務コンプライアンス違反のリスクに応じて机上調査、限定調査、包括調査に区分されているが、実際には重複した税務調査の繰り返しが企業の負担になっていると指摘されていた。ジェトロの2024年度海外進出日系企業実態調査によると、在カンボジア日系企業の58.2%が「税制・税務手続きの煩雑さ」を投資環境上のリスクと回答した。これらの課題解決に取り組むため、2024年7月にゴールドステータス企業の税務調査などを行う特別税務調査機関(STAU)がGDT傘下に創設された。ゴールドステータス企業に対する具体的な優遇措置は次のとおり。

  1. 税務調査は3年に1度の包括調査のみ(ただし、一定の税務コンプライアンス違反のリスクがあると判断された場合はゴールドステータスを保有していても税務調査が来る可能性あり)
  2. 付加価値税(VAT)還付申請を1年以内に行うことを条件に40日以内の還付が保証される
  3. 5億リエル(約12万5,000ドル)未満のVAT還付申請は事前調査不要
  4. ミニマム税(注2)免税

ゴールドステータスの取得方法については、20点満点の評価基準で16点以上を取得する必要がある(添付資料表参照)。カンボジア日本人商工会(JBAC)税務委員長の川原亮氏によると、現在ゴールドステータスを取得している日系企業は既に数十社あるという。

(注1)税務コンプライアンスの状況に応じて、納税者をゴールド、シルバー、ブロンズの3種類に分け、区分に応じて付加価値税(VAT)還付の手続き面などで恩恵が受けられる。ステータスは2年間有効で、自動的に更新されない点に留意が必要。

(注2)年次申告では、事業所得税(課税所得の20%)とミニマム税(VATを除くすべての税金を含む年間総売上高の1%相当額)のいずれか大きい方を、課税年度終了の日から3カ月以内に納付しなければならない。

(トー・タイ)

(カンボジア)

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