タミル・ナドゥ州政府、投資会議で41件の覚書交換、総額3,255億ルピー超
(インド)
チェンナイ発
2025年08月12日
インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州政府は8月4日、TN州南部のトゥートゥクディ(旧ツチコリン)で投資会議を開催した。M・K・スターリン州首相をはじめ、T・R・Bラジャア州工業相ら州政府閣僚5人が出席した。ベトナムの電気自動車(EV)メーカー、ビンファストのタミル・ナドゥ工場のほかに、4社の工場などの操業開始が紹介されたほか、TN州政府との間で、合計41件、3,255億3,850万ルピー(約5,534億1,545万円、1ルピー=約1.7円)、4万9,000人超の雇用創出に関する覚書が締結された(添付資料表参照)。
この会議で操業開始が発表されたのは、(1)IT利用型サービスをトゥートゥクディ支店で開始したプロ1ヘルス・システムズ、(2)トゥートゥクディ近くのティルネルベリにビスケット製造工場を立ち上げたブリタニア・インダストリーズ、(3)同じ地域でエタノールプラントを設立したナンダ・デビ・バイオ・エナジー、(4)チェンナイ近郊カーンチプラムで家電製造に取り組むFLDECグループのイーマック、ジヌフスの4件。
投資に関する覚書を締結した企業のうち、トゥートゥクディへの進出を表明した企業は、(1)シンガポールの複合企業ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループ傘下のエイプリル・ファイバー・リソース(投資額495億3,000万ルピー)、(2)多層プリント基板などの電子部品製造のケインズ・サーキッツ・インディア(499億5,000万ルピー)、(3)防衛部品(弾薬)を製造する複合企業サクティ・グループ(500億ルピー)などだ。
会議に参加したケインズ・サーキッツ・インディアはジェトロに対し、トゥートゥクディを選択した理由として、近隣に銅精錬工場があり、プリント基板製造に必要な原料が容易に調達できることや、初期投資と操業コストの安さを挙げた。一方で、マネジャークラス以上の技術者などがトゥートゥクディに赴任したがらない傾向があり、技術サポートなどをチェンナイ工場と調整する必要があると話した。防衛部品を製造するサクティの担当者は、爆発物を製造することから、安全確保のために広い工場用地が必要で、その用地があったことを選定要因として挙げた。
会議のあいさつに立ったスターリン州首相は、南部の工業団地に進出する企業には特別な優遇措置を提供していることや、南部の工業団地がすぐに利用可能なことを示し、TN州南部への投資を呼び掛けた。また、州政府として、州内の全てのコミュニティーが経済成長の恩恵を享受できるように活動しており、半導体や電気自動車(EV)、グリーン水素、IT分野に重点を置いていると述べた。
TN州政府は「ライジング・タミル・ナドゥ」(成長するタミル・ナドゥ)をテーマに、均等な地域開発、持続可能な工業化を目指して、州内各地で同様な地域投資会議を開催する方針だ。
投資会議の様子(ジェトロ撮影)
(白石薫)
(インド)
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