7月も物価上昇率は前月比1.9%、減速傾向続く

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年08月19日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は8月13日、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均で前月比1.9%だったと発表した。3カ月連続で2%台を下回った(添付資料図参照)。前年同月比(年率)は36.6%で、15カ月連続で減速した。2025年1月から7月までの累計では17.3%上昇した。7月は、対ドル公式為替レートが期末値で12.4%、期中平均値で7.3%下落したため、輸入物価の上昇がCPIを押し上げることを懸念する声が聞かれたが、結果として物価は安定した。

7月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスが4.1%(前月はマイナス0.2%)、エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.3%(同2.2%)、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は1.5%(同1.7%)で、2018年1月以来の低い水準となった。コアインフレ率は3カ月連続で減速している。ハビエル・ミレイ大統領は自身のSNSを通じて、コアインフレ率が低下したことに触れ、経済政策を担うルイス・カプート経済相を、同国史上最高の経済相だと持ち上げた。

前月比の上昇率を費目別に見たものが添付資料表1だ。このうち衣類・靴類は、前月比0.9%減となった。8月14日付の現地紙「エル・クロニスタ」は、「(輸入代金支払い規制の緩和や輸入手続きの簡素化による)輸入品の増加による競争が、価格上昇を抑制する要因となっており、その影響を特に受けているのが衣類・靴類」との政府関係者の見方を伝えている。

ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの8月14日時点の品目別の物価をみると、全体的に物価は安定していることがわかる(添付資料表2参照)。

2025年のCPI上昇率の見通しは、中央銀行がエコノミストらを対象に毎月実施する主要マクロ経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新の結果(2025年7月調査)によると、2025年末のCPI上昇率予測値の中央値は27.3%、IMFの対アルゼンチン拡大信用供与措置(EFF)による支援に係るスタッフレポートでは20~25%となっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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