インド政府、新たに4件の半導体製造プロジェクト承認
(インド)
ニューデリー発
2025年08月14日
インド政府は8月12日、新たに4件の半導体製造の計画を承認したと発表した。うち2件では東部オディシャ州、1件では南部アンドラ・プラデシュ(AP)州、もう1件では北部パンジャブ州に工場が設立される。これら4件の半導体製造プロジェクトは、総額約460億ルピー(約782億円、1ルピー=約1.7円)の投資が予定され、合計2,034人の熟練労働者の直接雇用に加えて、多くの間接雇用創出も想定される。
オディシャ州における2件の計画では、いずれも同州ブバネシュワルにある電子機器製造特区のインフォバレー(Infovalley)に拠点が設立される予定。1件目は、インドの垂直統合型デバイスメーカー(IDM)のSiCSemが、英国のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体に特化したファウンドリーのClas-SiC Wafer Fabと連携し、インド初のSiCベースの商業用化合物半導体工場の設立を予定する。年間生産能力は、ウエハー6万枚、パッケージング9,600万個。製品は、ミサイル、防衛装備、電気自動車(EV)、鉄道、急速充電器、データセンターのサーバーラック、家電、太陽光発電インバーターなどに利用される予定だ。同州の2件目は、米国の3Dグラスソリューションズが、垂直統合型の先進パッケージングと埋め込み型ガラス基板の製造ユニット設立を予定している。年間生産能力は、ガラスパネル基盤6万9,600個、組み立てユニット5,000万個、3Dヘテロ集積モジュール1万3,200個。製造された製品は、防衛、ハイパフォーマンス・コンピューティング、人工知能(AI)、無線周波数(RF)、自動車、フォトニクス、コパッケージドオプティクス(CPO)などに利用される。
AP州では、インドにおいて世界水準のOSAT(後工程の企業)施設となることを目的に設立されたAdvanced System in Package Technologies(ASIP)が、半導体のパッケージングとテストサービスを専門とする韓国のAPACTと技術連携し、半導体工場を設立予定だ。年間生産能力は9,600万個で、同社製品は携帯電話、セットトップボックス、自動車向け電子機器などに使用される見込みだ。
パンジャブ州においては、インドのシリコンチップおよび半導体デバイスメーカーのContinental Device India(CDIL)が、既存のディスクリート半導体工場を拡張する。新工場では、シリコンおよびSiCを用いた高電力ディスクリート半導体デバイスを製造予定で、年間生産能力は1億5,838万個。製品は自動車関連電子機器(特にEVおよび充電インフラ)、再生可能エネルギーシステム、電力変換機器、産業用機器、通信インフラなどに利用される予定だ。
今回発表されたプロジェクトを含め、インド政府に承認された半導体製造プロジェクトは計10件となった。6州にまたがる総投資額は約1兆6,000億ルピーに達する見込みで、半導体エコシステムの拡大が期待される。
(花村大樹)
(インド)
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