石破首相が東ティモール大統領と会談、協力強化を確認
(東ティモール、日本、ASEAN)
ジャカルタ発
2025年08月28日
日本の外務省は8月26日、石破茂首相が東ティモールのラモス・ホルタ大統領と首脳会談を行ったと発表した。
石破首相は、東ティモールが10月にASEANに正式加盟することに祝意を表明し、加盟後の取り組みも支援していく意向を述べた。東ティモールのASEAN加盟をめぐっては、5月に開催された第46回ASEAN首脳会合において、10月に開催される第47回ASEAN首脳会合で東ティモールを11番目の加盟国として承認することが決定された。
東ティモール大統領府の発表によれば、ラモス・ホルタ大統領は、日本との20年以上にわたる強固な協力関係を再確認し、これまでの4億3,800万ドルを超える日本の支援に謝意を表明した。同大統領は「日本からの支援は、ディリ国際空港の新旅客ターミナルや国立病院の近代化など、主要なインフラプロジェクトに極めて重要な役割を果たしてきた」と述べたほか、常石造船やINPEXなど日本の民間企業による重要な投資動向や計画についても協議されたと明らかにした。
防衛・安全保障分野に関して、石破首相は、インド洋と西太平洋を結ぶ東ティモールとの連携を重視していると述べた。ラモス・ホルタ大統領は、日本の海上自衛隊の艦船「おおすみ」がディリを訪れたことに触れ、「政府安全保障能力強化支援(OSA、注)の枠組みを通じた日本の東ティモールの安全保障能力強化へのコミットメントが再確認された」と強調した。
東ティモール大統領、ASEAN本部で演説
ASEANへの加盟に関して、ラモス・ホルタ大統領は8月1日、ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)でも政策演説を行った。同大統領は、東ティモールの国民の98%以上が電力にアクセス可能と述べるなどインフラ整備の進展を強調した。また、「日本の造船業者が造船所を設立し、すでに多くの東ティモール人を雇用し、訓練している」と述べ、国民生活の改善と国家の成長を加速する見込みがあるとした。さらに、「ASEAN加盟への道のりは天国への道よりも困難である」という自身の過去の発言を引用したうえで、ASEAN加盟国などの支援を受け、加盟プロセスを進めることができている点に謝意を述べた。
ラモス・ホルタ大統領の講演の様子(ジェトロ撮影)
(注)開発途上国の経済社会開発を目的とする政府開発援助(ODA)とは別に、同志国の安全保障上のニーズに応え、資機材の供与やインフラの整備等を行う新たな無償の資金協力の枠組み。軍などが裨益(ひえき)者となる。
(大滝泰史)
(東ティモール、日本、ASEAN)
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