第2四半期GDP成長率は5.5%、インフレの緩和で国内需要が堅調

(フィリピン)

マニラ発

2025年08月19日

フィリピン統計庁(PSA)は8月7日、2025年第2四半期(4~6月)のGDP成長率が5.5%だったと発表した(添付資料表参照)。2025年第1四半期(1~3月)の5.4%をわずかに上回ったが、2024年第2四半期の6.5%よりは下回った。なお、この水準はフィリピン開発予算調整委員会(DBCC)が6月26日に修正した目標値(5.5~6.5%)の範囲内に収まった。

産業別にみると、農林水産業は7.0%、鉱工業は2.1%、サービス業は6.9%と、主要経済セクターはすべて前年同期比で増加した。サービス業のうち「商業(卸・小売り・自動車など修理業)」(5.1%)、「政府機関、防衛、保安」(12.8%)、「金融・保険」(5.6%)などが成長を牽引した。

需要項目別にみると、民間最終消費支出が5.5%、政府最終消費支出は8.7%増加した。国内総固定資本形成は0.6%、財・サービスの輸出は4.4%、財・サービスの輸入は2.9%の増加だった。

フィリピン財務省のラルフ・レクト大臣は「昨今の成長は、インフレの持続的な緩和に伴う堅調な国内需要と、それに伴う消費者信頼感の高まりによって牽引されている」と述べた。フィリピン中央銀行(BSP)が6月に実施した5.25%の利下げも、借り入れコストの低下と消費支出の促進につながった。次回のBSP金融政策定例会合は、8月28日に実施予定だ。

現地報道によると、経済企画開発省(DEPDev)のアルセニオ・バリサカン大臣は「2025年の経済目標を達成するには、政府は国の輸出基盤と市場を多様化する必要がある」と述べ、「アジア市場での需要が旺盛な加工農産物は、半導体や電子機器に比べて付加価値が高く、潜在性も高い」と指摘した。さらに、インドなどの他国との経済関係強化にも期待していると述べた。一方、地場のフィリピン・アイランズ銀行(BPI)の主任エコノミストのジュン・ネリ氏は「雨季による生産とインフラの停滞が、経済見通しを鈍化させる可能性がある」と警戒した上で、「フィリピンに対する米国の相互関税引き上げにも考慮する必要がある」と述べた(8月7日付「ラップラー」紙)。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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