トランプ米大統領、韓国との合意成立を発表、相互関税と自動車は15%に

(米国、韓国)

ニューヨーク発

2025年08月01日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月30日、SNS投稿を通じて、韓国との通商合意が成立したと明らかにした。米国政府から合意文書などは発表されていないものの、トランプ氏の投稿や大統領府報道官の会見によると、米韓合意に基づき、韓国からの米国の輸入に対する相互関税は25%から15%に引き下げる。韓国からの自動車輸入に対する1962年通商拡大法232条に基づく追加関税も25%から15%に引き下げる。また、韓国は3,500億ドルを米国に投資する。

米国は2025年4月に韓国に対して25%の相互関税を設定した(2025年4月3日記事参照)。また、トランプ氏は2025年7月に韓国に対して、8月1日から25%の追加関税を課す意向を記した書簡を発表していた(2025年7月8日記事参照)。

今回のトランプ氏の投稿によると、米韓合意の内容は次のとおり。

  • 米国は韓国からの輸入に15%の関税を課し、韓国は米国からの輸入に関税を課さない。
  • 韓国は、トランプ大統領が選択した米国が所有、運営する投資プロジェクトに3,500億ドルを投資するほか、自国の投資のために資金を拠出する。合計金額は、今後2週間以内に実施するトランプ氏と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の米韓首脳会談で発表する。
  • 韓国は、液化天然ガス(LNG)、または他のエネルギー製品を1,000億ドル購入する。
  • 韓国は、米国製の自動車やトラック、米国産の農産品などを受け入れる。

キャロライン・レビット大統領報道官は7月31日の記者会見で、記者から米韓合意について尋ねられたのに対し、トランプ氏が7月30日に韓国の代表団とホワイトハウスで会談して「合意に至った」と述べた。また、米国の韓国からの自動車輸入に対する関税率は15%、米国製の自動車や米国産のコメなどに関する韓国市場のアクセス拡大、LNGなどエネルギー製品の1,000億ドルの購入は2028年までに実施し、3,500億ドル以上の対米投資の90%の利益は米国が得るなどと説明した。

なお、米国が韓国からの輸入に課す15%の関税率と、米韓自由貿易協定(KORUS)や一般関税率(MFN税率)との関係など、詳細は依然明らかでない。ただし、仮に米韓合意が、相互関税が15%に引き下げられた日米合意(2025年7月24日記事参照)と同様の内容ならば、MFN税率が15%未満の品目にかかる関税率は、MFN税率と相互関税を合わせて15%となり、MFN税率が15%以上の品目は、MFN税率のみ適用されて相互関税は適用されないことになる。

(葛西泰介)

(米国、韓国)

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